池袋ポケセン事件の背景…ストーカー規制法に限界?加害者カウンセリング拒否95%、元刑事「GPS装着を」

東京・池袋の商業施設「サンシャインシティ」内にある店舗「ポケモンセンターメガトウキョー」で3月26日夜、女性が男に刃物で首などを刺され、その男も自身の首付近を刺し、いずれも病院で死亡が確認された。警視庁によると2人は元交際関係で、容疑者はストーカー規制法違反容疑で逮捕されたものの、罰金を払って釈放されていた。改めてストーカー犯罪対策がクローズアップされる中、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が当サイトに対して見解を語った。 女性は東京都八王子市のアルバイト春川萌衣さん(21)で、男は住所、職業不詳の広川大起容疑者(26)。春川さんは昨年12月25日、男のつきまとい行為を八王子署に相談し、同日、春川さん宅周辺にいた広川容疑者がストーカー規制法違反容疑で逮捕された。さらに、同容疑者の車からナイフが発見され、今年1月8日に銃刀法違反容疑で追送検。同15日には春川さんへの撮影処罰法違反の盗撮容疑で再逮捕し、同29日に規制法に基づく(つきまとい行為などへの)禁止命令を出した。広川容疑者は同30日に略式起訴されて釈放され、罰金80万円を支払った。 春川さんは1月5日から2月6日までの間、警視庁に促されて親族宅に避難後、自宅に戻った。警視庁は3月12日までに電話などで春川さんに複数回接触していたが、同容疑者の釈放後に異常は確認されなかったという。 小川氏は「今回の件に関して言えば、警視庁は迅速に対応していたと思います。ストーカー規制法で逮捕した時点で、初犯であれば刑務所には行かないということは分かるので、広川容疑者が事実を認めているにもかかわらず、その後も、銃刀法違反や盗撮容疑といった他の罪で再逮捕したように、警察は強気で捜査していた。それでも略式起訴の罰金で出てしまう。その時に、男が『もう、つきまといません。これ以上、やりません』と言えば、それ以上のことができないことになる。ストーカー規制法の限界と言わざるを得ない」と解説した。 3月19日に警視庁のホームページで発表された2025年の「ストーカー事案の概況」によると、同年中の相談件数は1751件で前年から296件(20.3%)増加し、女性が1414人と8割以上を占めた。相談者の年齢は20~30歳代が1139人で約65%。被害者・加害者とも20代が最多だった。その関係性は交際相手(元を含む)が906件(51.7%)で最多となっている。 警視庁は広川容疑者に禁止命令を出すと共にカウンセリングを受けるように働きかけたが、同容疑者は拒否していた。警視庁によると、禁止命令を受けたストーカー加害者に精神医学的な治療やカウンセリングを呼び掛けても実際の受診率は低く、24年のデータでは5・6%(3271件の働きかけに対して受診したケースは184件)と低かったという。 小川氏は「警察では積極的にカウンセリングを勧めるようにしていますが、一昨年(24年)は約95%の者が拒否したという現状がある。自ら受ける者は少なく、5%程度にとどまっている。強制力がないのです。また、受けたくないという心理に加え、費用の自己負担もある。公費負担にしている一部の自治体もあるが、原則は自己負担で、1回あたり1~3万円くらいかかるということです。保護観察のように費用がかからないようにできればいいのですが…」とする一方、「“異常はない”とされた容疑者でも、実際の動きは見えない。カウンセリングも必要だと思いますが、それだけでは間に合わないこともあるのではないか」と付け加えた。 その上で、小川氏は釈放されたストーカー行為者に対する「監視システムの強化」を訴えた。 同氏は「容疑者の話を信用する、しないという以前に、やはり監視するシステムを強化すべき。こういう事件が起きる度に議論はされるが、そのままで終わってしまう。今後も、こういった事案は数多くはなくても、絶対に起こりうる。韓国では容疑者の足にGPS(衛星測位システム)を足に付けています。容疑者が釈放されてもGPSを体の一部に付けられることで犯罪抑止力になる。今はAIが進んでいるので、GPSの接近の仕方で、すれ違いなのか、追いかけているのか…というところで反応して通報できるシステムも可能なのではないか。今回の事件を機にGPS装着について、もっと強く声を大きく上げていきたいと考えています」と提案した。 (デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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