池袋での女性刺殺事件を受けて、「ストーカー殺人の防御策には限界があるのではないか」との声も聞こえる。いったいどんな対策を講じれば、身勝手な事件は防げるのか。 川崎市ストーカー殺人事件では、殺害された岡崎彩咲陽さんの元交際相手、白井秀征被告が逮捕、起訴されたが、警察の対応の不備が指摘された。 彩咲陽さんが行方不明になる前の映像を見ると、身を寄せていた祖母の家の周辺を、元交際相手とみられる男がうろつく様子も。彩咲陽さんは11日間で、警察に9回も通報し、助けを求めていた。 しかし、警察は見回りを行ったが、不審者は見当たらず「切迫している状況ではない」と判断。相談内容も記録化せず、署長らにも報告していなかった。彩咲陽さんが行方不明になり、祖母の家の窓ガラスが割られていることを110番通報したが、鑑識活動を行わず、捜査書類も作らなかった。 被害者の父親は「何回もストーカーで捕まえてくれと(警察に)何回も言った」と話していた。その後、神奈川県警は一連の対応に「不適切な点があった」とする検証結果を発表し謝罪。ストーカー対策の強化はここでも叫ばれたはずだった。 しかし2025年12月、茨城県水戸市でネイリストの女性が殺害された事件では、元交際相手の大内拓実被告が逮捕・起訴された。女性に贈ったとされるぬいぐるみからは、位置情報がわかる発信機が見つかった。さらに車のナンバープレートの裏にも、位置情報がわかる発信機がテープで貼り付けられていたことが明らかになった。 大内被告は発信機から、被害女性の帰宅時間などを把握していたとみられている。女性は事件の4日前に水戸署に連絡していたが、この時はストーカー被害の担当部署がどこかを尋ねるだけで、名前も言わずに通話は終わったという。 茨城県警は、切迫性はないと判断。「ただちに合理性を欠いていたとは考えておらず、問題があったとは言えない」との見解だ。 なぜ執拗に追いかけて殺害に至るのか。犯罪心理学者の出口保行氏によると、こうしたストーカーには共通する性格があるという。「非常に自己中心的で、被害感や疎外感が強いタイプ。これが多い。人の言葉、人の行動を非常に悪意にとらえてしまいやすい。自分の一方的な要求を相手に求めていく、それが受け入れられないと非常に攻撃的になる」。 そして、「普通であれば相手が嫌がっていれば、自分の行動が悪かったのではと自分を責める方向に行くが、ストーカーをするタイプは、どういうことであっても相手が悪い。要するに他罰的に考えていくのが1つの大きな特徴」だとした。 3月26日、東京・池袋のポケモンセンターで起きた女性刺殺事件でもみられたように、相手を身勝手に殺害したあと、なぜ自らも自死を選ぶのか。出口氏は「こういう事件を起こせば、当然自分が社会の中で生きていられなくなる、社会から抹殺されてしまうことは、分かっている。したがって自死を選んだのだろう」と推測する。 後を絶たないストーカー殺人事件。警察の対応だけでは防げないことは明らかとなっている。もう対策は限界なのだろうか。出口氏はカウンセリングの重要性に改めて言及する。「自分というのを客観視する状況を作っていく。第三者と話すことで確認をしていく。そういう面でカウンセリングは非常に有効になる。その中で何を育てるのかというと共感性。これが非常に重要」。 また、「『今この人は嫌がっている』『今この人は悲しんでいる』『喜んでいる』とかを正確に認知して推測する。こういうストーカー的な行動をする人は、相手が今どう思っているのかを、自分の中で自己中心的に捉えてしまう」として、「共感性をどう育てるかということが、ストーカー行為や事件を未然に防ぐ。時間はかかるが、やっていかなければいけない」と語った。 (『ABEMA的ニュースショー』より)