【玉木正之のベースボール今昔物語:第22回】WBC優勝でベネズエラがアメリカに復讐? 第1回で日本の優勝を後押しした“怨念”<SLUGGER>

今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)がキャプテンを務め、史上最強チームの呼び声が高かったアメリカをベネズエラが破って初優勝を飾った。 残念ながら侍ジャパンの連覇と4度目の優勝は叶わなかった。だが、今年早々ベネズエラを爆撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拉致・逮捕したドナルド・トランプ大統領に対して、少々溜飲を下げたベネズエラ国民も少なくなかったかもしれない。 ところで、このWBCのようにメジャーリーガーを含むプロ選手たちによる野球の国際試合を最初に提案していたのは実は日本の野球界だった、ということを御存知だろうか? その提唱者は、日本球界で「社会人野球の父」と呼ばれていた山本英一郎氏だった。 彼は生前、MLBが両リーグの優勝チームが最終的に争うアメリカのチームだけの試合をワールドシリーズと称していることに反発。「スーパー・ワールドシリーズ」として、日本シリーズに優勝したチームも参加させるべきだと主張した。 そして将来的には「日本がメジャーの二軍のような存在にならないためには、メジャーと対抗するオーガニゼーションを東洋につくるべきなんだ。『ウェスト・パシフィックリーグ』でも何でも名前はいいから、日韓台豪でリーグを作る。地球を東西に分ける2大リーグをつくらなきゃ」(月刊誌『世界』岩波書店2002年5月号「スポーツで語る新世紀/対談玉木正之×山本英一郎」より)と述べていた。 そんな構想の下に、2000年5月には、第1回『スーパー・ワールドシリーズ』として、MLBのワールドシリーズ優勝チームとNPBの日本シリーズ優勝チームが、翌年11月に東京で対決することを決定。第2回大会をアメリカで行うことまで決定したのだが、01年9月11日に同時多発テロ事件が起こってこの計画は頓挫、有耶無耶になってしまった。 ところが05年5月になって突然、MLBが翌年3月にWBCを開催すると発表したのだ。

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