警察官や検察官などを装って金銭をだまし取る手口の詐欺で、被害者宅の郵便受けに「逮捕状」が入れられるケースが各地で相次いでいる。実際に現金をだまし取られた事件も起きており、警察庁は「逮捕状を投函することは絶対にない」と注意を呼びかけている。 共通する手口はこうだ。突然、電話がかかってきた後に、「逮捕状」入りのレターパックなどが投函される。電話口で「あなたは犯罪に関与している」などと一方的に話を進め、動揺させた高齢者らから現金などをだまし取ろうとする。 三重県の80代の女性は、その流れで「紙幣番号を調べるため、現金を紙袋に入れて自宅前に置いておいて」と指示され、現金350万円をだまし取られたという。 昨年、特殊詐欺の被害額は過去最悪の1414億円(暫定値)にのぼり、このうち警察官などをかたる「ニセ警察詐欺」が985億円で7割を占めた。今年も2月までに135億円超の被害が出ている。多くのケースでは、犯人側が被害者をLINEに誘導し、ビデオ通話によって、警察の制服姿や偽造した警察手帳などを見せて被害者を信用させる手口だ。 ■若年層にはSNS 高齢者は? 新たな手口は、被害者の郵便受けに「逮捕状」を入れるというものだ。なぜ、「アナログ」な方法がとられているのか。 警視庁の匿名・流動型犯罪グループ対策本部の植田哲也戦略企画官は「SNSに慣れていない人を狙っているのでは」と指摘する。 ニセ警察詐欺の被害者は、スマートフォンを日常で利用する20~40代の若年層が多く、60代以上では固定電話にかかってくるケースが目立つ。相手を信用させるために偽物の逮捕状を示そうにも、SNSを使わない高齢者には示すことができないため、郵便受けに「逮捕状」を入れる手口をとったと警視庁はみている。 犯人側は悪質な名簿業者などから入手した名前や住所などの情報を使い、電話などをしているとみられる。全国の警察が2024年度までの5年間で詐欺拠点などから押収した名簿には、延べ約233万人分の個人情報が記載されていた。同本部の植田戦略企画官は「ニセの逮捕状に自身の個人情報が書かれていても信用してはいけない」と注意を呼びかけている。(西岡矩毅、板倉大地)