6月に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会は、出場チーム数が従来の32から48に増加する。 国際サッカー連盟(FIFA)の思惑と競技面の影響を探った。 ◇会長の肝煎り案 日本が初出場を果たした1998年フランス大会で出場枠が24から32に。出場チーム数拡大はこれ以来で、2017年のFIFA理事会で決まった。前年の会長選挙で、拡大案を公約として掲げたインファンティノ会長が当選。理事会では全会一致で承認され、同会長は「W杯出場国のエネルギーが、サッカーにとって最大の活性化になる」と意義を強調した。 ただ、FIFAが収益増をもくろんでいたのは隠せない。前任のブラッター会長時代の終盤は複数の幹部が汚職事件で逮捕、起訴され、同氏も資格停止処分に。汚職スキャンダルの影響は大きく、組織のイメージは悪化。スポンサー離れを招き、15年決算は13年ぶりに赤字となり、黒字化に4年を要した。 そんな状況に「拡大路線」はうってつけの改革案だった。W杯に出場したことがない国や地域にチャンスが広がれば、新たな市場として開拓可能に。22年大会の開催が決まっていたカタールを筆頭に、豊富なオイルマネーを生かしてスポーツ分野へ莫大(ばくだい)な投資を行う中東や、中国、インドなどのアジア市場は魅力的だったに違いない。 女子W杯は23年大会で24から32チームとなり、31年大会では男子と同じ48に。クラブW杯も4年に1度の開催とし、出場チームを32に増やした。年代別のW杯も開催頻度や規模を大きくする傾向が続く。 FIFAは今年3月の理事会で、27~30年で計140億ドル(約2兆2223億円)の収益を見込んだ昨年の年次報告を承認。サッカーの発展のために27億ドル(約4285億円)が再投資されるとし、10年前と比べて8倍の規模だと発表した。インファンティノ会長は「サッカーへの投資は飛躍的な進歩を遂げた。これは主な収入源であるW杯なしには実現できなかった」と言う。