米国大統領が議会の承認なしに戦争を遂行できる期限を60日と定めた戦争権限法(War Powers Resolution)に関連し、米国国防総省(戦争省)のピート・ヘグセス長官は4月30日(現地時間)、イラン戦争の停戦期間には該当する期限が適用されないとの見解を示した。 ヘグセス長官はこの日、連邦上院軍事委員会の2027会計年度国防予算公聴会で「現在、我々は停戦状態にある」とし、「我々の理解では『60日期限』は停戦時には一時停止され、止まるという意味だ」と述べた。彼の発言は、60日の期限終了が差し迫った状況で、ドナルド・トランプ大統領の今後の計画に関するティム・ケイン上院議員(民主党、バージニア州)の質疑に答える過程で出た。 ◇ヘグセス氏「停戦時は『60日期限』停止」 1973年に制定された米戦争権限法は、大統領が議会の承認なしに軍事的敵対行為を開始する場合、60日以内に議会の承認を得るか、戦争を終わらせるよう規定している。撤収過程での必要性などを理由に30日の延長を要請できるが、これについても議会の承認を経る必要がある。 トランプ大統領は2月28日、「猛烈な怒り」と称する対イラン軍事作戦に入ったが、議会に作戦開始を通知した時点は3月2日だ。これを基準にすると、60日の期限は5月1日に終了する。ヘグセス長官は、米国とイランが停戦に合意した7日以降は60日の期限に算入されないと主張し、「5月1日デッドライン」を否定した。 ◇民主党「非常に重要な法的問題を招く」 ケイン議員は「法がそのような解釈を支持することはない」とし、「60日の期限は明日(5月1日)で満了するはずだが、これは政府に対して非常に重要な法的問題を提起することになる。我々は憲法上の深刻な懸念を抱いている」と反論した。ただ、共和党や民主党を問わず、過去の政府で該当する法が適切に守られなかった事例があるため、トランプ大統領も同様の前例を踏襲するだろうとの見方も出ている。 この日の公聴会では、イラン戦争の正当性や成果などを巡り鋭い攻防が繰り広げられた。民主党はトランプ政府が戦争の成果を誇張しており、国防総省がトランプ大統領の聞きたがっている言葉だけを並べていると主張した。 ◇民主党「戦争目標、何一つ達成できていない」 軍事委員会の民主党幹事であるジャック・リード上院議員(ロードアイランド州)は「トランプ大統領は(戦争の理由として挙げた)差し迫った脅威に対するどのような証拠も提示できず、その結果を警告した軍・情報専門家の助言を無視した」とし、「イランの強硬政権は依然として健在で、濃縮ウランの備蓄分を保有しており、核プログラムも依然として有効だ。大統領は言及した目標のうち何一つ達成できなかった」と批判した。 同党のリチャード・ブルメンタール上院議員(コネチカット州)は、現在までに費やしたイラン戦争の費用が250億ドル(約3兆9200億円)だとする前日の国防総省の報告に対し、「実際の費用よりはるかに小さい数値で、戦争総費用の半分にも、あるいは4分の1にも満たないだろう」と追及した。 ◇ヘグセス氏「敗北主義者が判断を鈍らせている」 ヘグセス長官は「イランで歴史的な軍事的成功を収めてから2カ月が過ぎたが、これを敗北と呼ぼうとしている」とし、「敗北主義的な民主党が米国民の判断を鈍らせている」と応酬した。 この日の公聴会の途中、傍聴席にいた女性がヘグセス長官に向かって「あなたは戦争犯罪者で、逮捕されるべきだ。米国民はこの戦争に行くことを望んでいない」と叫び、議会の警備担当者によって連れ出される一幕もあった。 ヘグセス長官は前日に続きこの日も、イランが北朝鮮式の核開発戦略を追求してきたとし、先制的な措置として行われた今回の戦争の正当性を重ねて強調した。彼は「イランは過去47年間、核兵器を得るために脅迫を繰り返し、前政権の誤った協定のために、かつてないほど核兵器に近づいていた」とし、「これこそが、イランが追求していた北朝鮮式の戦略だ」と述べた。