イラクの武装組織リーダーを逮捕・訴追、米国人とユダヤ人への攻撃を「指示、扇動」 米連邦当局

(CNN) 米連邦当局は、欧州で少なくとも18件のテロ攻撃を組織・計画したとして、イラクの武装組織の指導者を逮捕・訴追した。攻撃は米国人とユダヤ人を標的としており、全てイランでの戦争の終結を目的に掲げていた。連邦当局が刑事訴追状で明らかにした。 訴追状によると、モハメド・バケル・サード・ダウード・アルサーディ容疑者は、イランでの戦争への報復として「米国とイスラエルの権益を攻撃するよう、他者に対して指示、扇動した」とされている。また「カタイブ・ヒズボラとイスラム革命防衛隊(IRGC)、およびその関係者のテロ活動を推進する」ことも求めたという。カタイブ・ヒズボラはイランの支援を受けた民兵組織、IRGCはイランの精鋭部隊だ。 検察側はアルサーディ容疑者がカナダでの2件の攻撃も組織したと主張。さらに米ニューヨーク市のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)への攻撃を含む米国内でのテロ攻撃を指示、組織化しようとしたとも訴えている。 検察当局によると、アルサーディ容疑者はカタイブ・ヒズボラの司令官だという。米国はイラクを拠点とするカタイブ・ヒズボラを外国のテロ組織に指定している。同組織は、同じく外国テロ組織に指定されるIRGCとも密接な関係にある。検察当局によれば、アルサーディ容疑者は2017年からIRGCに関与していた。 欧州各地ではユダヤ人関連施設を狙った放火事件が立て続けに発生。シナゴーグや学校、救急車などが標的となっていた。CNNは一連の放火事件の犯行声明を出した組織とカタイブ・ヒズボラとのつながりを最初に報じた。 検察側は、カタイブ・ヒズボラが「ハラカト・アシャブ・アル・ヤミン・アル・イスラミヤ(HAYI)」という偽名を使って攻撃を実行していたと主張している。カタイブ・ヒズボラに近い情報筋は今月初めCNNに対し、HAYIのメンバーの一部はイラク人で、両組織はつながっていると語っていた。 アルサーディ容疑者は、外国テロ組織への物的支援共謀、テロ行為への物的支援共謀、公共施設爆破共謀など、多数の罪で訴追された。同容疑者は15日、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に出廷し、保釈なしでの勾留を命じられた。同容疑者は出廷時に罪状認否を行わなかった。 当局はいつ、どのような経緯でアルサーディ容疑者を逮捕したのか明らかにしていない。しかしフライト記録によれば、国際的な身柄の引き渡しによく用いられる司法省の航空機が今週トルコへ飛び、モロッコを経由して14日夜遅くにニューヨーク市近郊に着陸したことが判明している。 アルサーディ容疑者の弁護士は、現時点での認識として「(容疑者は)トルコ当局によってトルコで逮捕された。おそらく米国当局の要請があったと思われる。それから米国当局に引き渡されたが、その際拘束並びに米国への移送の合法性を争う機会は与えられなかった」と述べた。 弁護士は法廷審理の後、「我々の立場から言えば、彼(アルサーディ容疑者)は政治犯であり、戦争捕虜だ」と指摘。「彼は故カセム・ソレイマニ氏とのつながりを疑われたために処罰されている」との見解を示した。 IRGCのソレイマニ司令官は20年1月、トランプ大統領の命令による米軍のドローン(無人機)攻撃を受け、バグダッド国際空港で殺害された。 検察側によるとアルサーディ容疑者は、ソレイマニ氏の後を継いだIRGCのイスマイル・カーニ司令官や、イランが支援する民兵組織ハラカト・アル・ヌジャバの事務総長、アクラム・アッバス・アルカビ氏など、米国が指定する外国テロ組織の指導者たちと密接な関係にあるという。 訴追状によれば、アルサーディ容疑者は様々なソーシャルメディアアカウントを使ってテロ攻撃を扇動し、報復を誓っていた。

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