窃盗犯と鉢合わせし、その場で私人逮捕! 実際の事件から見る「私人逮捕の条件」と「やりすぎ行為」の境界線、法的根拠とは(山形)

今月18日、山形県酒田市の漁業関連施設において、68歳の男が施設内に侵入し、およそ500円が入った小銭入れを盗む事件が発生しました。この事件で注目すべき点は、犯行を目撃した実習生がその場で男を取り押さえ、「私人逮捕(常人逮捕)」を行ったことです。 【参考記事】https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2669455?display=1 一般市民が犯人を逮捕するというドラマのような展開。願わくば出くわしたくはないシチュエーションですが、日本の法律ではこの「私人逮捕」について厳格なルールが定められています。 今回の事件を例に、その法的根拠を見ていきましょう。 ■私人逮捕(常人逮捕)は法律で認められた権利 警察官などの捜査機関ではない一般の人が犯人を逮捕することを、法的には「常人逮捕(じょうじんたいほ)」、一般的には「私人逮捕(しじんたいほ)」と呼びます。 これは例外的な行為に思えますが、実は刑事訴訟法によって明確に認められています。 刑事訴訟法 第213条・・・現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。 令状なし!ここがポイントです。「何人でも(だれでも)」と明記されている通り、一定の条件を満たせば、警察官でなくとも令状なしで逮捕を行うことが可能です。今回の実習生による逮捕は、まさにこの第213条に基づく正当な行為と言えます。 ■逮捕の絶対条件は「現行犯」であること 私人逮捕が認められるためには、対象者が「現行犯」でなければなりません。後日「あの時盗んだだろう」と疑って逮捕することはできず、それは警察の仕事になります。 現行犯の定義についても、法律で明確に定められています。 刑事訴訟法 第212条 1項・・・現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。 今回の事件では、「実習生が小銭入れを盗むという犯行を目撃し、その場で取り押さえた」とあります。つまり、まさに「現に罪を行い終わった」瞬間(あるいは行っている最中)であったため、私人逮捕の要件を完全に満たしていました。 ■逮捕後の厳格な義務「直ちに警察へ引き渡すこと」 私人逮捕は「捕まえて終わり」ではありません。逮捕した一般人には、その身柄を速やかに警察などの捜査機関に引き渡す義務が生じます。

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