億単位汚職も見抜けず… 「チェック怠った」日本郵便の癒着体質

郵便ポストから郵便物を回収する業務の発注を巡る汚職事件で、日本郵便では複数の管理職が発注の決裁をする立場にいたにもかかわらず、社内のチェック機能が働いていなかったことが判明した。日本郵便は、かねて不当な力関係に基づく下請け業者への対応が問題視されていた。その裏で一部業者との癒着が常態化していたとみられ、自浄が十分に働いていない実態が浮かび上がった。 事件では、賄賂を受け取ったとされる元社員の米田伸之容疑者(37)=日本郵便株式会社法違反(加重収賄)容疑で逮捕=が入札の際、あえて落札者が出ないように予定価格を異常な安値にしていたとされる。この価格を入札前に運送会社「ハルキエクスプレス」に漏らし、最も近い額で応札させることで、入札不調後の随意契約を結べるように仕向ける手口とみられている。契約額は4件で1億8400万円に上り、予定価格の倍まで引き上げていた。日本郵便によると、米田容疑者は逮捕前、社内調査で「違法との認識はあった」と話したという。 通常、入札の予定価格や契約額は担当者から上司に報告され、複数の管理職の決裁を得る仕組みになっている。一連の入札や契約でも社内の確認手続きがあったが、億単位の委託費になる業務の不自然な価格設定は社内で見過ごされた。日本郵便は「チェックを怠っていたと言われても仕方ない」(広報担当者)とする。 結局、日本郵便が調査を始めたのは、2025年5月に外部から受けた指摘がきっかけだった。26年4月には調査結果を基に米田容疑者を懲戒解雇したが、今回の事件の癒着相手とされたハルキ社への業務委託は現在も続いており、対応を検討中という。日本郵便は取材に対し、ハルキ社について「(逮捕される)5月20日まで把握していなかった」(広報担当者)と説明している。 捜査関係者によると、米田容疑者や前任者は、ハルキ社とは別の業者からも接待を受けていた。また、一部業者に対する最低入札価格の漏えいは、米田容疑者の前々任の担当者の頃からあった可能性がある。 日本郵便と下請け業者の不当な力関係はかねて問題になってきた。委託業務の発注を巡る癒着は、その裏で脈々と続いてきたとみられている。【長屋美乃里】

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