5月14日、栃木県上三川(かみのかわ)町の住宅で住人女性が殺害された。警察当局は、様々な犯罪に関与する「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」が起こした事件とみている。事件の主導役とみているのが、事件3日後に出国し、強盗殺人容疑で公開手配されている益田和彦容疑者(48)だ。 発生から1カ月がたった。容疑者同士の関係が緩い匿流の事件で、警察は、この男の存在をどう把握していったのか。 これまでに強盗殺人容疑で逮捕されたのは、実行役とされる16歳の高校生や無職の少年4人と、その指示役とされる竹前海斗容疑者(28)と美結容疑者(25)夫婦の計6人。最初の逮捕時、警察は認否を明らかにしておらず、強盗殺人未遂容疑で再逮捕するなど今も実態解明が続くが、捜査関係者への取材でこれまでの経緯を振り返る。 ■きっかけは「指示役」容疑者の逮捕 益田容疑者が浮上したきっかけは、海斗容疑者が逮捕された5月17日未明にさかのぼる。 この際、海斗容疑者がいたのは羽田空港第3ターミナル(東京都大田区)。出国の直前だった。 県警が海斗容疑者の居場所を把握したのは、その数時間前。空港へ急行した捜査員が海斗容疑者を見つけた。 逮捕された海斗容疑者は「なぜ逮捕されたのかわかりません」と容疑を否認した。 捜査員はこの際、海斗容疑者が持っていたスマートフォンを押収。スマホの解析は、最先端の技術で携帯電話やパソコン、防犯カメラ映像の分析などを担う警視庁の捜査支援分析センターに託された。 ■「ルパンやる?」 スマホから読み取れたやりとりでは、通信アプリで海斗容疑者に「ルパンやる?」といった趣旨で事件を持ちかけたり、海外に向かう航空チケットを手配したりしていたアカウントがあった。 「Kazu」という名だった。 いったい何者なのか、警察は特定を急いだ。 通信アプリのアカウント情報にひもづいた電話番号などをたどった先にいたのが、益田和彦(かずひこ)容疑者だった。 益田容疑者が事件前、川崎市内のホームセンターで、バールを購入していた疑いが浮上。今回の強盗殺人事件で凶器として使われたバールと同じ可能性もあるとみられている。 栃木県警は、益田容疑者が事件を主導した疑いがあるとの見方を強めていく。5月26日には強盗殺人容疑で逮捕状を取得。29日には公開手配に踏み切った。 ■東南アジアに逃亡か ただ、益田容疑者は海斗容疑者が確保されたのと同じ日に成田空港から中国へ出国していた。その後は東南アジア方面に向かったとされるが、詳しい足取りはわかっていない。 栃木県警と神奈川県警の合同捜査本部は、専用ダイヤル(0285・52・2674)を設け、情報提供を求めている。