「案件屋」が枠組み提供か トクリュウ関与、都内の強盗など 実行役ほぼ特定、摘発進む・警視庁

東京都内で相次ぐ匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による強盗事件などの捜査で、警視庁は実行役らの摘発を進めている。 捜査では、多額の現金がある住宅や会社といった標的情報を入手した「案件屋」が、必要な実行役の人数などの枠組みを示して仲介役に持ち掛け、指示役を通じて事件を起こす構図が浮かび上がってきた。 上下関係は薄く、分業化されてより流動的になっており、ある捜査幹部は「突き上げ捜査から逃れようとしているのではないか」と分析。同じ標的が何度も狙われるケースがあり、警視庁が実態解明を図るとともに警戒を強化している。 捜査関係者によると、都内で2月以降に発生した、トクリュウによる強盗や住居侵入など12件では、実行役をほぼ特定。延べ57人のうち8割近くを摘発し、指示役らの逮捕も進めている。 実行役らから押収したスマートフォンを解析したところ、案件屋は想定される利益と共に、実行役の人数や報酬割合などを仲介役に提示。仲介役が指示役に打診し、知人やリクルートで確保した実行役が差配されていた。一つの案件に複数の指示役が群がり、実行役を出し合っているケースがあるほか、指示役から仲介役に案件を求めることもあるという。 連絡に使われている秘匿性の高い通信アプリでは、強盗を意味する「タタキ」の「T」や、窃盗を連想させる「ルパン」が由来とみられる「R」といった隠語が飛び交っていた。 案件の情報は都内以外に関東近県も含まれ、住宅や質店、金塊の取引業者などに加え、家族構成や防犯カメラの設置状況、取引時間といった詳細な内容もあった。 1案件当たり100万円程度で売買されていたケースも確認された。こうした費用を回収するため、成功するまで同じ標的を繰り返し狙ったり、指示が過激化したりする可能性がある。そのため警視庁は、一度被害を受けた標的の警戒を継続しており、現れた実行役の摘発につなげている。 金塊の取引業者などに対しても、古物営業法に基づく立ち入り検査を実施。取引記録の確認など実態把握や防犯指導に取り組んでいる。 実行役は10~20代が多く、実際に報酬を受け取ったのはごくわずかという。強盗殺人事件に発展した場合の法定刑は、死刑か無期拘禁刑で、捜査幹部は「割に合わない重い犯罪。一生を棒に振ることになる前に考え直してほしい」と呼び掛けている。

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