不正認識も「勇気なく」元財務部長、百条委で証言 八代市新庁舎問題

熊本県八代市の新庁舎建設を巡り、不正の疑惑を調べる市議会の調査特別委員会(百条委員会)は3日、市議らの逮捕や起訴を受けて延期していた証人喚問を再開した。工事の落札業者の利益を増やすため、追加工事の発注が重ねられたとの疑惑について、元財務部長が「良くないことをしているとは分かっていた。(止める)勇気がなかった」と証言した。 この問題を巡っては、特定の建設業者に便宜を図るよう市に働きかけて6千万円を受け取ったとして、市議の成松由紀夫被告らがあっせん収賄罪などで起訴されている。起訴状などによると、成松被告らは2016年ごろ~19年6月ごろ、新庁舎建設工事の入札で、前田建設工業(東京)側が有利になる評価基準案を採用するよう市職員らに指示。落札後も、前田建設工業側の利益を増やすために市に働きかけたとされる。 今年4月の証人喚問では、課長職だった男性が19年に成松被告にちゃんこ屋に呼び出され、前田建設工業側の受注額を「10億~11億円」増やすよう求められたと証言した。元財務部長もその場にいたという。その後、市は前田建設工業側と追加の随意契約を結んだ。この日の証言で、元財務部長は「あまり良くないことは理解していました。なんで止められなかったのかという後悔はあります」と述べた。 入札の評価方式の変更については、当時の中村博生市長から声がかかり、当時の副市長が持ち帰って、評価基準の変更になったと証言した。 百条委の委員からは、成松被告が市職員の人事にも関与しているのではないか、との質問もあった。元財務部長は「全然なかったと言えばうそになる」「誰々をどこどこに、と言われたこともある」と話した。ただ、あくまでも意見として聞いた上で、最終的には当時の中村市長の判断だったとも説明した。 元財務部長は「市役所全体がすごく風通しが悪かった。何でも意見が言いあえるような職場作りが一番良いのかなと思いますが、そんな環境ではなかった」とも話した。(座小田英史) ■評価基準案「成松市議から」元副市長が証言 八代市の新庁舎建設を巡り前田建設工業側が入札で有利になる評価基準案を部下に指示したとされる当時の副市長も3日、市議会の百条委員会に証人として出席。評価基準案は市議の成松被告が持ち込んだものだったと証言した。案は当時の中村博生市長にも示し、了解を得ていたという。 元副市長は、成松被告から評価基準案を持ち込まれ、その後も体裁を整える中で成松被告とやりとりしたと話した。評価基準案と前田建設工業との関連を知っていたかについては「聞いていない」と否定。「信頼性に劣る会社が落札するのはよくないので、指名停止処分を受けた会社を減点するべきだと(成松被告に)言われ、(案について)ある程度理解した」と話した。 議員から提案があったことに疑問を持たなかったのかとの委員からの問いには「市長の了解済みと言われ、受け入れやすい気持ちになったのだと思う」と話した。案は成松被告からのものであるとして市長にも了解をとり、担当部長に渡したと説明した。(後藤たづ子)

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