前川さんの敗北感と希望 無罪判決1年、前日に再審見直し改正法成立

殺人罪で服役した前川彰司さん(61)に、再審で無罪とする判決が言い渡されてから18日で1年となる。前日に再審制度を見直す改正刑事訴訟法が成立。その動きと重なる1年間だった。 「改正とは名ばかり。敗北感がある」と悔しさをにじませる一方、「制度に問題があることを世の中に示せた」と、後の見直しに希望をつなぐ。 18日午前、いつものように福井市内の図書館へ足を運んだ前川さんに来館者から「新聞読んでるよ」「よかったね」と声がかかった。1年の節目を報じる新聞に、前川さんの写真が載っている。 かつて感じていた「人殺しや」という忌まわしげな視線は、「前川さんや」と歓迎するような視線へと変わった。「道ですれ違う人から、気軽に声をかけられるようになった」という。 福井市で1986年に女子中学生を殺害したという容疑で逮捕されてから、38年4カ月後の無罪確定。決め手の一つとなった証拠は、検察の手元に34年間留め置かれていた。無実の人が同じ苦しみを味わうことなく、早く救われるようにと、法改正を訴えてきた。 だが、成立した改正法に「証拠開示は後退した部分があるのではないか」と憤る。再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)の原則禁止についても「抜け道が残っている」と語る。 それでも、再審規定の見直しは1948年の現行法制定以降、初めてのことだ。「手直しできたかどうかは別として、手を入れることはできた」とも評価する。そして、制度のあり方を検討する5年後に「光を見いだしたい」。(荻原千明)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする