映画化決定『九条の大罪』なぜ話題に? 柳楽優弥演じる“ふてぶてしい”悪徳弁護士の存在感

4月に配信され、大きな話題を呼んだNetflix シリーズ『九条の大罪』の映画化が決定。2027年1月8日に全国公開される予定で、ティザービジュアルとティザー映像も公開された。そこで本稿ではまだ同作に触れたことがない人に向けて、ドラマ版の見どころについて紹介していきたい。 『九条の大罪』の原作は、『闇金ウシジマくん』で知られる真鍋昌平の手掛けるマンガ。半グレやヤクザなど、世間的に「悪人」とされる人物の依頼ばかりを引き受ける変わり者の弁護士・九条間人(くじょう・たいざ)の活躍を描いた衝撃のストーリーとなっている。 『闇金ウシジマくん』と同様に、暴力や犯罪、人間の悪意など、裏社会のリアルな描写が出てくるのが大きな特徴。『地面師たち』や『全裸監督』などを映像化してきたNetflixシリーズにうってつけの原作と言えるだろう。 ドラマ版『九条の大罪』も、そうした“アングラ”的な要素が1つの見どころと言える。ただし原作と比べてグロテスクな描写を若干抑制している上、視聴者が感情移入しやすいように脚本を調整していることも特徴だ。 たとえば印象的なのは、第1話で描かれたひき逃げ事件の顛末。このエピソードでは、九条のもとに反社とつながりがある人物からの依頼が舞い込む。それはスマホでゲームをしながら飲酒運転していた結果、事故を起こしてしまったという“クズ”な男性の弁護依頼だった。 しかし九条は一切葛藤することなく加害者の弁護を行い、執行猶予付きの判決を勝ち取る。その一方で被害者の子どもは左足を切断するという悲惨な状態になったにもかかわらず、弁護士を立てていなかったため、破格の示談金額で言いくるめられてしまう。しかし九条はそんな結果を見ても、「無知は罪」と冷たく言い放つだけだ。 原作はここで話が終わるため、読者の胸にどうしようもない後味の悪さが植え付けられるのだが、ドラマ版ではエピローグ的な描写が登場。九条が裏でソーシャルワーカーの薬師前仁美に働きかけ、被害者の母親に裁判のやり直しを提案したことが明らかになる。その結果として、わずかに光明が見えるような結末となっており、九条がたんなる悪徳弁護士ではないことが分かりやすく提示されている。 またドラマ版では、九条の事務所で“イソ弁”として働く烏丸真司(松村北斗)が、視聴者に近い目線に立つキャラクターとして描かれているという違いも大きい。烏丸の存在によって、九条がどれだけ理解に苦しむ行動をしたとしても、感情移入を阻まれることなく作品世界に入り込める作りとなっているのだ。 ドラマ版はこうして物語の描き方を変えることによって、原作よりも間口の広い作品になっていると言えるだろう。 またキャスト陣の圧倒的な存在感も、ドラマ版『九条の大罪』の大きな魅力。その筆頭はやはり主人公の九条を演じる柳楽優弥だ。九条は何を考えているのか分からない謎めいた弁護士だが、柳楽は淡々とした話し方や迫力のある佇まいによってその雰囲気を表現している。 さらに被害者への同情を欠片も示さず、世間から「悪魔」と罵られても一切動じない“ふてぶてしい”態度の表現も見事なもの。ひき逃げ加害者の話を聞いて「被害者は死んでいたほうがいい」と言い放つ場面や、法廷で被害者の家族が号泣しているところを前にしても涼しい顔つきをしている場面など、思わず背筋が寒くなるような演技を随所で見せてくれる。 またそんな九条のキャラクター性を際立たせているのが、烏丸を演じる松村北斗の演技だ。烏丸は東大法学部を首席で卒業し、エリート街道を進んでいた人物で、真面目で理屈っぽい性格。ドラマ版では原作よりも正義感が強く、繊細な性格の人物として描かれているのだが、そこで松村が果たしている役割は大きい。 松村は映画『夜明けのすべて』や『秒速5センチメートル』など、細やかな心の動きを求められる役柄で力を発揮する俳優なので、ドラマ版の烏丸はイメージにぴったりの配役だった。逆に言えばキャスティングの時点で、制作陣が烏丸をどのような人物として描きたかったのか伝わってくる。 そのほか、伏見組の若頭・京極清志役を演じるムロツヨシなども面白いキャスティングだった。コミカルな演技でお馴染みのムロが、威圧感のあるヤクザを演じるというギャップは、SNS上でも大きな話題を呼んだ。 『映画 九条の大罪』ではドラマ版からメインキャストが続投になるようなので、引き続き迫力のある演技に期待できるはず。またティザー映像では、九条が警察に逮捕状を突き付けられるところが描かれており、波乱に満ちた展開が予想される。 映画公開までにはまだ時間があるため、この機会にドラマ版を視聴しておくことをオススメしたい。

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