吉田修一の短編集「逃亡小説集」に収められた「逃げろお嬢さん」を映画化した『逃げろお嬢さん』が10月2日(金)に公開されることが決定。このたび、ポスタービジュアルと予告編映像が解禁された。 親の仕事を継ぎ、つつましやかに温泉宿を営む康太は、いつもの日常のなか、ある小道で前を走る車の様子がおかしいことに気づく。心配して車を止めると、運転していたのは高校時代から康太が推している元アイドルの鮎川舞子だった。しかしテレビのニュース速報では、舞子の夫が薬物で逮捕され、舞子自身も疑惑のなか行方不明になっていると報じられたばかり。混乱する康太だったが、これまで自分の人生を照らし続けてくれた推しのために、いまできることを全うしようと心に決める。 主人公の康太を演じるのは、『ひとりぼっちじゃない』(23)に続いて映画主演2作目となるKing Gnuの井口理。舞子役には、今年で俳優10周年を迎えた深川麻衣が決定した。監督、脚本を務めるのは『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)や『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(08)の脚本家として活躍し、『ひとりぼっちじゃない』(23)で映画監督デビューした伊藤ちひろが務める。 解禁された予告編は、舞子がラジオ番組であるハガキを読み上げる声にのせて、平凡に暮らす康太の様子から始まる。舞子の夫が薬物で逮捕され、舞子自身も行方不明になっているというニュースに驚く康太の前に現れたのは、出会うはずのなかった舞子本人。「私のことご存じですか」と聞く舞子に、「いえ、知りません!」と即答する康太。「私は取り返しのつかないことに手を出したと思う」と誰かに電話で話す舞子を、そっと見守る姿も収められている。「俺は、あなたの存在に何度も励まされ、支えられてきました。会って直接話をしたことがなくても、あなたはいつまでも大切な存在なんです」という康太の想いが語られ、「俺、助けます」という決意の言葉で締めくくられる。 あわせて解禁されたポスタービジュアルには、必死に走る康太、そっと空を見上げる舞子のカットに加え、2人がテーブルをはさんで向き合うカット、舞子の手をひっぱり歩く康太など、様々な姿が切り取られている。「人生を支えてくれた推しに いま、僕ができることー」というコピーが添えられた。 井口は「昔好きだった人、自分の人生を救ってくれた人のことをどこまで信じ守れるかがこの作品の見所になっていると思います」とコメント。深川は「舞子を演じているなかで、自分をただただ真っ直ぐに信じてくれる人の存在がどれほどあたたかく、心強く、その存在にどれほど救われるのかを、身をもって実感できました」と語っている。 信じ抜くことで推しを守ろうとした男を待つ、小さな奇跡とはどのようなものなのか?静かで確かな愛の循環を描く物語に期待が高まる。 ■<監督、キャスト、原作者コメント> ●井口理(康太役) 「伊藤監督の作品への出演は『ひとりぼっちじゃない』から始まり、今回が3作品目になります。今回は山の民宿を営む康太という役柄を演じさせていただきました。吉田修一さん原作の世界観と監督の持つ世界観が合わさり『逃げろお嬢さん』は美しさと滑稽さが両立した世界として描かれています。昔好きだった人、自分の人生を救ってくれた人のことをどこまで信じ守れるかがこの作品の見所になっていると思います。康太の孤軍奮闘を、みなさんに楽しんでいただければ幸いです」 ●深川麻衣(鮎川舞子役) 「舞子とは、名前もたどってきた職種も近くて、だからこそ共感できる部分もたくさんあり、シンパシーを感じました。康太と舞子の2人の関係性は、周りからみたら理解できない、滑稽なものに見えるかもしれません。でも2人の間にあった確かなものを見ていると、世論や常識をとっぱらった、自分にとっての真実や本当に大切なものについて、考えるきっかけになりました。そして舞子を演じているなかで、自分をただただ真っ直ぐに信じてくれる人の存在がどれほどあたたかく、心強く、その存在にどれほど救われるのかを、身をもって実感できました。長野の豊かな自然のなかでの撮影は本当に心地よくて、撮影の日々がいまでも恋しいです!」 ●伊藤ちひろ(監督、脚本) 「誰かの活力や支えになりたくて、人の前に立って表現していく者たち。その想いを感じ取って、応援で応える者たち。その尊い循環を、わたしはとても美しいものだと感じています。いま世界で『推し活』によって輝きを増す人が広がるなかで、わたしは『応援すること』の本質について考えるようになり、そんなとき吉田修一さんの短編小説に出会うことができました。この物語には、生きていく間にわたしたちがいくつか通る愛の触れ合いの、そのひとつが描かれていると感じています。康太と舞子は、自分が貰った愛に応える。その愛は、励ましです。人から受け取ったエネルギーに励まされ、それが巡る。誰かのひとつの過ち、世間の枠からはみでた者に対して、攻撃することよりも応援することのできる人がいる。真相を知ろうと弄って好奇心を満たすよりも本質を信じる気持ちを大切にできる人がいる。そういう人たちの心の美しさを映画に残したいと思いました。『逃げろお嬢さん』はそんな静かで確かな愛の循環を描いた映画だと思っています」 ●吉田修一(原作) 「誰かをずっと応援してきた人に訪れる小さな奇跡の物語。この小さな奇跡を伊藤ちひろ監督がきらきらと輝かせてくれた。風に揺れる金色のススキ原のようなその輝きは、井口理さんと深川麻衣さんの声や体からあふれてくる深い人間愛のようでもあり、気がつけば二人が体験する小さな奇跡を心から応援していました」 文/鈴木レイヤ