「関税戦争」が足かせとなった中国、法で民営企業への不当要求行為を厳罰へ

トランプ米政権と「貿易戦争」をしている中国が民間経済の促進に動き出した。中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が30日に「民営経済促進法」を通過させて来月20日から施行することにしたのも、こうした措置の一環だ。 この法は、中国経済で税金納付の50%、国内総生産(GDP)の60%、技術革新の70%、都市雇用の80%以上を創出する民営企業の最大の懸案から解決しようとするものだ。その間、中国では民営企業の不満が大きかった。国営企業に比べて中央・地方政府から正当な待遇を受けていないという理由のためだ。 中国で「民営経済」は憲法用語でない。中国は1975年と78年、憲法でいわゆる全民所有制と集体所有制だけを許容し、私有制を法的に許可しなかった。現行憲法は11条で「法律が規定した範囲で個体経済、私営経済など非共有制経済は社会主義市場経済の重要な構成の部分」とし「国家は個体経済、私営経済など非共有制経済の合法的権益を保護する」と規定している。 習近平国家主席の執権以降、中国では「国進民退」と呼ばれる民間企業弾圧政策が進んだ。独占禁止、私教育業種に対する全方向調査および処罰により民営企業家は当局に対する信頼、投資意欲を失い、間接的に中国経済発展の障害になったというのが専門家らの分析だ。しかし新型コロナ拡大以降、中国経済の回復が予想より遅かったうえ、米国の牽制が強まり、中国当局は民営企業の活性化を緊急な課題とみている。 中国当局が昨年公開した法の草案によると、「経営者の身体権利、財産権および経営自律性など合法的な権益を法に基づき保護する」という内容もある。いわゆる「遠洋漁業」と呼ばれる他地域の法執行に関連した措置だ。 フィナンシャルタイムズ(FT)は昨年、中国上場企業の公示資料を根拠に82人の経営陣が地方政府に逮捕され、このうち半分ほどは企業の所在地でない地域の政府に監禁されたと伝えた。特に民間企業が密集する広東省広州の場合、2023年以降1万以上の企業が他地域の政府官員から不当な金銭要求を受けたという。当初は全人代で先月通過すると伝えられた民営経済促進法の制定が遅れたのも「遠洋漁業」根絶条項をめぐる論争があったという。 ◆遺伝子組み換えトウモロコシ4、5倍に増やして関税戦争対応 一方、中国が遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ栽培を昨年の4、5倍に増やし、米国との「関税戦争」で新たなテコにするという海外の報道があった。30日のロイター通信によると、中国は昨年、約1000万畝(1畝は約667平方メートル)で遺伝子組み換えトウモロコシを栽培したが、今年は4000万ー5000万畝に増やすと予測される。中国は世界でトウモロコシと大豆を最も多く輸入する国だ。昨年のトウモロコシ輸入量の15%を米国産が占めているだけに、対米依存度を減らすための措置と解釈される。

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