駅で通行人のバッグをひったくろうとした男を現行犯逮捕したとして、茨城県警取手警察署(小野操一署長)は同県守谷市の大学生、森真澄さん(23)に感謝状を贈った。森さんは総合格闘技の練習に励んでおり、日頃の成果が思わぬ形で発揮された格好だ。 同署などによると、4月8日午前11時ごろ、守谷市中央のつくばエクスプレス守谷駅自由通路で、男性会社員のビジネスバッグをイタリア国籍の男(23)がひったくろうとした。 「やめろよ!」「ギブ・ミー・バッグ!」。駅のフードコートで友人と待ち合わせしていた森さんにも騒ぎ声が聞こえ、約20メートル先で2人の男がもみ合っていたのが見えた。森さんは体が「勝手に動いた」。その場に駆け付け、2人を引き離そうとした。男は森さんの持つ財布を奪おうとし、顔面目がけてパンチ2発を打ってきた。 慶応大3年の森さんは総合格闘技に3年間打ち込み、プロも目指している。相手のパンチを避けながら男の両足にタックルをかけ、あおむけに倒れたところを右膝で押さえ込む「ニー・オン・ザ・ベリー」という技で組み伏せた。男はパンチを繰り出して抵抗したが、駅員らも加わって取り押さえ、同署員に引き渡した。 身長168センチの森さんに対し、男は約180センチと大柄。格闘は約20分に及んだという。森さんは「相手の力は強かった。押さえるのに必死だった。今後も困っている人がいたら助けたい」と振り返った。