中国ヘリ発艦で引き返す 尖閣周辺で飛行の民間機 機長、当時の状況証言

3日に民間機で尖閣諸島(石垣市)上空に向かったとされるパイロットの男性が6日までに、八重山日報の取材に応じ、当時の状況を証言した。新石垣空港を出発し、尖閣諸島上空まで10数㌔の距離に達したが、海上保安庁から無線で「周辺を航行する中国船からヘリが飛び立ったため危険」と退避を促す警告を受け、引き返したという。尖閣周辺海域では中国艦船が日本漁船の操業を妨害しているが、民間人が上空から尖閣諸島に接近するのも困難になっている現状が浮き彫りになった。 民間機に搭乗していたのはパイロットの志摩弘章さん(81)=京都市=と知人数人。機材は志摩さんの自家用機だった。 志摩さんによると、自家用機で石垣入りしたあと、3日午前11時40分ごろ、尖閣諸島上空に向かうため新石垣空港を離陸。0時20分ごろ、尖閣諸島に10数㌔まで迫った時、海保から無線が入った。中国船に搭載されたヘリが飛び立ったため「大変危険なので、この海域から退避せよ」と促された。 志摩さんが尖閣諸島問題に関心を持ったのは2010年、尖閣沖で中国漁船が海保の巡視船に衝突した事件がきっかけ。逮捕した中国人船長を釈放した民主党政権の対応に疑問を抱いた。 2015年には大阪航空局にフライトプランを提出し、自家用機で尖閣諸島上空を飛行。島々の写真も撮影した。当時、周辺海域で中国船の姿は確認できなかったが、巡視船は見えた。 志摩さんは「民主党政権時の対応で、中国は『日本はちょっと脅せばすぐに逃げる』と思っているのではないか。今、尖閣諸島を守っているのは海保だが、国民として海保にすべて任せ、知らん顔をしているわけにはいかない」と強調。「一石を投じる意味があると思って今回(尖閣諸島上空への飛行を)実行した」と話した。

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