沖縄県で相次ぐ米兵の性的暴行事件を受け、県と米軍が再発防止策について協議する「フォーラム」が9日、初めて開催される。 実効性のある再発防止策に向けた具体的な議論が行われるか注目される。 一連の事件を巡っては、被害者のプライバシーを守りつつ、県民への注意喚起も行う難しさがあらわになった。昨年、事件が発生した場合の県への通報体制が整備されたが、その後起きた事件で県は通報を受けた上で非公表としており、県民からは疑問の声も上がる。 昨年6月、米兵による16歳未満の少女を含む女性への性的暴行事件が次々と発覚。事件は県民に知らされず、政府や県警から県への情報提供もなかったことから、県民に強い反発が広がった。玉城デニー知事は「(個人を)推測されるような情報は控えた上で県民に注意喚起し、米軍にも綱紀粛正を求められたはずだ」と怒りをにじませた。 これを受けて政府は同年7月、関係自治体に対し可能な範囲で迅速に情報提供を行うよう運用を改定。県警も、逮捕や書類送検の段階で県に通報する体制を整えた。 在日米軍は再発防止策の一環として、県警との合同パトロールや、米兵の基地外への外出、飲酒を制限する「リバティー制度」の厳格化を打ち出した。その後、隊員への人権教育の強化や司令官の監督責任の明確化も図った。 しかし、米兵による性的暴行事件は続発。先月30日には、沖縄本島の米軍基地内で女性に性的暴行を加え、別の女性にけがをさせたとして、在沖米海兵隊1等兵の男(27)が不同意性交と傷害罪で起訴された。 県によると、米兵による性的暴行は昨年6月に明らかになった2023年12月の事案以降、7件が書類送検され、うち4件が起訴されている。 先月30日に起訴された米兵の男は同月7日に書類送検され、県にも同日通報されたが、県は被害者のプライバシーを理由に非公表とした。 女性の声を政治に届けることを目指す市民団体「フェミブリッジ沖縄」の島袋ひろえさんは、「県民に知らされなければ、どうやって事件を防ぐのか。事件をなかったことにしないため、県民が抗議の意思を示すことが大切だ」と話す。 一方、玉城知事は「被害者が報道を望んでいないと県警から説明があり、心情に配慮した」と述べた。