東大前切りつけの動機に東大教授「納得できない。自分が親の被害者だからって新たな被害者を…」

東大薬学部の池谷裕二教授が、10日放送のTBS系「情報7daysニュースキャスター」(土曜午後10時)に生出演。母校の最寄り駅である東京都文京区の東京メトロ南北線東大前駅で男性が切り付けられた事件について私見を述べた。 番組ではフリップで、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された無職戸田佳孝容疑者(43)の供述を紹介。安住紳一郎アナウンサーが「過去に自分自身、教育熱心な親のせいで不登校になり苦労した。教育熱心な世間の親たちに、あまりに度が過ぎると子どもがぐれ、私のように罪を犯すと世間に示したかった」と読み上げた。安住アナは続けて「どこまで本心なのかは分かりらないですけど、犯罪は許されることではないですが、一方で社会に恨みを持って社会から残された人たちのケアとか受け皿も議論されるべき時代だな、という感じもします」と語った。 ただ池谷氏は「う~ん?」と首をかしげると「これ、でも…納得できないですよね、もともと」と動機を疑問視。「自分が親の被害者だからって新たな被害者を出していいとは到底思えないんですけど」と語った。さらに「似たような事件として、3年前にも東大の前で切りつけ事件が起こってます」と、22年に東大志望の当時高校2年の男が、大学入学共通テストの受験生ら3人を包丁で切りつけた事件に言及。「いくつか共通点があるな、と思っているんですが、もちろん教育とか受験の犠牲者というか、社会問題を浮き彫りにしていて、シンボリックである東大で事件を起こすだけじゃなくて、無差別であるということと、あとは遠くから来るんですよね。戸田容疑者は長野、3年前は愛知県、名古屋から来ているんですよね。だからかなり用意周到に準備しているのが分かります」と指摘した。 池谷氏は、戸田容疑者について「43歳というのがポイントかな、と思っていまして、親の教育の虐待を受けてからだいぶ時間がたってますよね。脳の観点からすると、恨みとかトラウマって、時間がたてばたつほど、色あせて許せる、というのとは逆に、どんどん恨みがつのっていくというのが、えてしてあるんですよね」とコメント。「そういうケースって多分、周りから見ていると、分かることも多い。繰り返し繰り返し妄想を変な方向に、事実とは違う方向にふくらませていってしまうことも、えてしてあるので、何とか周りの人が気づいて、しっかり話し合って防げなかったのかな、というのも思わなくはないです」と語った。 総合司会の三谷幸喜氏から「きっかけみたいなものはあるということなんですか」と聞かれると、池谷氏は「他とのコミュニケーションが少なかったりすると、自分なりの妄想を広げていっちゃうというケースもあるから、性格の問題も多少あるのかもしれないですよね」と補足した。

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