「年齢関係ない」 31万円の詐欺被害に遭った新社会人の後悔

社会人生活をスタートしたばかりの北海道北見市在住の男性(21)が、特殊詐欺被害に遭った。「詐欺には無関係」と思っていた男性がだまされた手口とは。男性は「年齢に関係なく被害に遭うことを知ってほしい」と報道各社の取材に応じた。 男性のスマートフォンが鳴ったのは、4月11日午後1時ごろ。「ヤギ」と名乗る人物が、自分は岐阜県警の警察官だと語った。詐欺グループ事件を捜査していると説明され、「ササキ」と名乗る別の警察官や検察官を語る人物も電話口に登場した。 「あなたのキャッシュカードが悪用されている。お札の番号を調べる。確認したらお金は戻す」と言われ、男性はコンビニから現金約31万円を指定口座に送金させられた。 2年ほど前に道外に住んでいた時、運転免許証やカードを入れた財布を紛失していたことを思い起こし、話を受け入れてしまった。「いま思えば違和感はあったが、信用してしまった」という。 通信アプリのビデオ通話で警察手帳を見せられ「逮捕状を出す」などと言われ、男性は「パニックだった」と振り返る。送金した現金がすぐに戻らないことを不審に思い、インターネットで詐欺について検索したところ、同じ手口の事例が見つかった。 男性はすぐに警察の相談電話「#9110」に電話をかけ、詐欺事件の被害に遭ったと知った。当時は「怒りより生活費を失った不安と落胆しかなかった」と振り返る。 「知らない番号には出ない。出てしまったらいったん切る」。自身には無関係と思っていた詐欺対策の実践を訴えた。 北見署の今年1~4月の特殊詐欺の認知件数は8件で被害総額は約2000万円。このうち警察官をかたる詐欺は半数の4件で急増している。 同署の生活安全課の神野亜衣課長は「警察官が現金を振り込ませることは絶対にない。少しでも違和感があれば、相談電話で相談してほしい」と呼びかけている。【本多竹志】

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