マッチングアプリで知り合った男性をデートを装ってぼったくりバーに誘い入れ、飲食代金など約190万円相当を取り立てたとして、警視庁保安課は東京都ぼったくり防止条例違反の疑いで、東京都渋谷区道玄坂の「クイーン」などと称するバーの従業員、佐古壮汰容疑者(22)=新宿区舟町=と菅原梨那容疑者(24)=新宿区大京町=ら男女3人を逮捕した。おおむね容疑を認めているという。 同課によると、容疑者らは渋谷周辺で運営する複数のぼったくり店に男性を誘導。飲み放題コースを注文した上で、「別料金」とする酒を大量に注文して高額な飲食代金を請求し、さらに「支払いを待つために次の予約がキャンセルになった」などとして、損害賠償金も求めていた。 現金払いを指定し、男性を監視しながら複数のATMで現金を引き出させた上、消費者金融で借り入れさせたり、クレジットカードで貴金属やブランド品を購入させたりしていた。障害者向けのマッチングアプリを悪用したケースもあり、昨年9月以降、50人以上に計約8千万円を払わせていたとみられる。 上位者がメンバーを集め、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で日ごとに実行役を指定して犯行グループを形成していた。同課は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とみて、他の実行役や上位者についても捜査を進める。 逮捕容疑は1月、マッチングアプリで知り合った当時20代の男性を店に誘い入れ、飲食代金や損害賠償金として現金110万円を出金させた上、バッグやネックレス計4点(購入価格計約75万円)を購入させて交付させたとしている。 ■「手口知って」被害男性、女性に恐怖 マッチングアプリで知り合った相手に連れていかれた店でぼったくり被害にあうトラブルが多発している。東京都の男性会社員(26)は昨年、アプリを通じて会った女性に連れていかれたバーで30万円超を請求された。「場を切り抜けたいと思い払ってしまった。許せない」と悔しさをにじませる。 「今日飲みに行きませんか」。昨年12月、アプリでマッチした女性からメッセージが届き、待ち合わせ場所に繁華街の駅を指定された。現れたのは「21歳のアパレル店員」という女性。女性が「行ってみたかった」というバーに入り、5千円の飲み放題メニューを注文した。