「狭い場所なら逃げられない」相次ぐ鉄道で凶行 防犯カメラ増設や防護盾…各社で対策強化

「狭いところなら逃げられない」。東京メトロ東大前駅で発生した切りつけ事件で、殺人未遂容疑で逮捕された戸田佳孝容疑者はこう供述し、電車に乗り込もうとした男性を刃物で襲ったとされる。鉄道の乗客を無差別に狙った事件は過去にも相次いでおり、各社が対策を進めている。 《ただちにお近くのドアから外に逃げてください》。20日、警視庁と東急電鉄が実施した刃物事案の対処訓練。緊急停車した車内に緊迫感のあるアナウンスが流れ、駅係員らがはしごなどを使い、乗客を速やかに避難させた。負傷者の救助や犯人確保の手順も確認した。 こうした訓練の背景には、鉄道の安全が脅かされた過去の凶悪事件がある。小田急線では令和3年8月、電車内で男が車内で刃物を振り回し、10人が重軽傷を負った。同年10月には、京王線で男が乗客を襲撃し、床にライターオイルをまいて着火させた。この男は公判で「逃げるところがなく、確実に多くの人を殺せる」と電車内での犯行を計画したと語った。 鉄道各社は両事件を受け、防犯カメラを増設するなど対策を強化。今回、事件のあった東京メトロでは、全駅に防護盾を配備し、乗務員が防刃手袋を携行するようにしていたという。 東大前駅の事件では非常停止ボタンなどが操作されたことを受け、駅係員がさすまたと防護盾を持って現場に急行。乗客の誘導や、けが人の手当てを行った。事件を受け「警備腕章やベストを着用した社員による巡回警備を実施し、警戒を強化している」(担当者)といい、駅構内や車内で不審者や不審物を見つけた際にすぐに知らせるよう、乗客に伝えるアナウンスの回数も増やしているという。(前島沙紀、濵佳音)

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