医療目的の使用を承認…厚労省が認めた大麻由来成分『CBD(カンナビジオール)』違法性や依存性は?

「今回の法改正で、高樹沙耶さんの主張が正しかったことが示されたとも言えるでしょう」 そう話すのは、医療大麻にくわしい脳神経内科医の正高佑志さん。 今回の法改正とは、’24年12月、’25年3月の2段階で一部が改正され施行された「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法」のことで、法律上の大麻の扱いが変わり、大手製薬会社からも「CBD(カンナビジオール)」のサプリメントが登場しはじめた。 正高佑志さんは、かつて医療大麻合法化をかかげて選挙に出馬し、その後大麻取締法違反で逮捕された元俳優の高樹沙耶さんとも親交が深く、ラッパーとして2曲のコラボ楽曲とMVをリリースする異色の経歴を持つ脳神経内科医。 「私が過去に行った、医師を対象とした医療用大麻についての意識調査で、高樹さんの活動はデメリットよりもメリットの方が大きかったことが示され、高樹さんの住む石垣島に報告に伺ったのが交流の始まりです」(正高佑志さん・以下同) 「CBD(カンナビジオール)」とは、不眠やうつ、痛みなど、さまざまな不調を和らげるとして注目を集めている大麻草由来の成分で、「大麻」という言葉から、違法性や依存性、安全性を心配する声も多い。 法改正により、何が変わったのか。 「大麻草には160種以上の大麻草にしか含まれない成分があります。 そのうち一番目に多いTHCという成分は、独特の陶酔作用があるため日本では規制されています。一方、二番目に多い成分CBDは陶酔作用や依存性などがなく(改正前から)合法です。 今回は、CBDに関しての規制が改正されました。 特に、大きく変わった点は、大麻草の『部位』での規制から、『成分濃度』での規制になったこと。 これまでは、1948年に制定された大麻取締法により『茎と種から取れるCBDは合法』とされ、成分がとれる〝部位″によって規制されてきました。今回の法改正では、部位ではなくTHCがどれだけ含まれているか、『THCの成分濃度』により規制されることになりました」 海外では日本より先に、大麻の合法化や規制の緩和が進んでいる。CBDの利用が生活に根付いているアメリカやヨーロッパなどでは、THCの成分濃度で規制され、日本も今回、それに続いた形となった。 ◆CBDの規制緩和のはずが…世界基準よりさらに厳しいルールに 日本でも健康や美容目的でCBD製品を使う人が増えたこと、医療用大麻の使用が求められはじめた中での法改正。明確なルールが定められ、CBDの流通が増えて手に入りやすくなるのでは、と期待されたが…。 「法改正でこれまで以上に規制が厳しくなってしまいました。CBD製品には微量のTHCが残留しているのですが、アメリカではTHCの含有濃度が0.3%未満とされているのに対し、日本ではCBDオイル、CBDパウダーなどの油脂、粉末タイプは0.001%が上限に(※1)。 製品のタイプによりますが、ドリンクなどの水溶液タイプは0.00001%と、世界的に見ても厳しすぎる基準が定められました。基準値を超える製品は販売することができません」 安全性という意味では厳しいほうが安心だ。しかし、CBDがより身近になるかといえば、そうではないようだ。 「海外から良質なCBDを輸入するにも、日本のルールが厳しくなったためにTHCを除去するためにさらに精製をしたり、検査をしたりしなくてはいけません。その手間は、価格に転嫁される可能性もあります」

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