鈴木馨祐法相が29日午後、1966年の静岡県一家4人殺害事件で再審無罪となった袴田巌さん(89)の姉ひで子さん(92)と、国会内の鈴木宗男参院議員の事務所で面会し、ひで子さんに謝罪した。 面会後、宗男氏が国会内で行った「新党大地」の勉強会の中で明かした。 ひで子さんはこの日の会合で、袴田さんが逮捕から無罪判決を勝ち取るまでの58年間について語り「これまで、見えない権力と闘ってきた。巌はまだ拘禁症状が癒えていない」と、袴田さんの現状に触れた。「1人の人間をこんな目に遭わせ、巌の一生は台無しだ。58年もほったらかしにして、国はその間、何をしていたのでしょうか」とした上で、「人の命にかかわること。法に不備があり、一刻も早く改めていただきたい」とした上で、再審法の早期改正を求めた。 袴田さんは1980年に死刑が確定し、2回の再審請求を経て昨年10月に無罪が確定した。袴田さんに対してはこれまで、静岡県警本部長や静岡地検検事正が謝罪している。 双方の面会を仲介した宗男氏によると、鈴木法相は「静岡地検検事正がおわびをいたしましたが、私からも長い期間、(巌さんが)不安定な状況に置かれたこと、(無罪判決まで)時間がかかったことを、法務大臣として心からおわびを申し上げます」と語ったという。 ひで子さんは、鈴木法相の謝罪について「法務大臣にそうおっしゃっていただき、本当にありがたいと思っています。丁寧にお言葉をいただきました」と、述べた。