NBAプレーオフ2025は、カンファレンスファイナルまでスケジュールを消化。各球団、優勝が目前に迫り、コート内では激しいバトルが繰り広げられている。しかし、熱を帯びているのは、選手やスタッフのみではない。ファンたちもまた、愛する球団のチャンピオンリング獲得を後押しするべく、感情が昂っている。 だが、その熱量の矛先を誤ってはいけない。5月24日(現地時間23日)、イースタン・カンファレンス・ファイナル第2戦が開催された夜、インディアナ州カーメル内のブルワリーで、ニューヨーク・ニックスのファンを含む2人を刺傷させたとして、地元の24歳の男性ジャレット・ファンケが逮捕。その後、起訴された。 現地メディア『FOX 59』が入手したハミルトン郡地裁に提出済みの起訴状によると、被告は致命的な武器による重度暴行、重傷を伴う暴行、致命的武器を用いた無謀行為という3つの重罪に問われているという。 『Basketball Forever』は、事件の目撃情報を伝えている。ファンケ被告は、ビールパブ『Danny Boy Beer Works』の店内でニックスファンの帽子を叩き落とし暴言を吐くと、小競り合いに発展。店員が父親と共に被告を店外に退店させたが、被告は数分後にフェンスを突き破るように再侵入するや否や、パーカーのポケットから折りたたみナイフを取り出し、ニックスファン2人に刺傷を負わせた。また、ファンケ被告は「表に出ろ」と被害者たちを挑発したといい、被害者の1人も威嚇目的で折り畳みナイフを一瞬取り出したが、使用の意図はなく、すぐにしまったと証言している。この事件で、被害者の1人は背部刺傷で肋骨骨折と軽度の肺損傷、もう1人は脚部裂創と打撲のケガを負った。 しかし、ファンケ被告は警察の聴取に対して、「被害者らが先に暴言を吐き、自分を地面に突き飛ばして顔面を殴った」と、正当防衛を主張。しかし、目撃者たちは被告が加害者側だと証言しているという。 リーグとメディアは、ポストシーズンで続発する“過激化したファン同士の衝突”を問題視している。ニューヨーク市内では、タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)のユニフォームを着用して街中を歩いていたファンが、ニックスファンからゴミ袋を投げつけられる様子が広く報じられた。 今回の一件は、プレーオフの熱狂が酒席でエスカレートし、宿敵ファン間の口論から短時間で凶行に至った典型例だ。激化する応援の裏で、リーグは安全対策が改めて問われているのかもしれない。 文=Meiji