韓国大統領選最後の日曜日 リードの李氏「民主共同体取り戻す」与党文氏「経済回復」訴え

【ソウル=石川有紀】尹錫悦前大統領の弾劾罷免に伴う韓国大統領選は3日、投開票を迎える。選挙戦を尹前政権の「審判」と位置付ける革新系最大野党「共に民主党」の李在明候補がリードを保ち、保守系与党「国民の力」の金文洙候補が追う展開。政権交代が実現した場合、前政権が進めた日米韓の安全保障協力が継続されるかなど外交・安保の行方が焦点となる。 選挙戦最後の日曜日となった1日、李氏は保守層の地盤を集中的に回った。朴正熙元大統領の出身地、南東部大邱を再び遊説で訪れた李氏は、「今回の選挙は地域や政党を離れ、民主的共同体を取り戻すものではないか」と強調し、自身への支持を呼びかけた。昨年12月の戒厳に関わった「内乱勢力を断罪する」と訴えた。 金氏は大票田の首都圏を中心に遊説。ソウル市江南区で、京畿道知事時代に企業誘致や交通網を整備した実績を挙げ、「経済を回復させ、若者に良質の雇用を作る」と訴えた。戒厳による経済の悪化を謝罪する一方、複数の裁判を抱える李氏を「こんな人が大統領になれば、国民は生きていけない」と批判した。 世論調査は投開票6日前から公表が禁止されている。韓国ギャラップなどが5月26、27両日に実施した世論調査では、李氏が支持率46%で金氏(37%)を9ポイント差で上回る。与党との候補一本化が注目された中道保守系野党「改革新党」の李俊錫候補は11%で、上位2者から離されている。 29、30両日に実施された期日前投票の投票率は、過去最高だった前回2022年大統領選(36・93%)に次ぐ34・74%となった。 各地の投票所では不正行為も相次ぐ。選挙事務員が夫の身分証を使って投票し、公職選挙法違反の疑いで逮捕されたほか、有権者が投票用紙を持ち出す事案が発生。期日前投票は保守派支持層の多い地域で低調で、保守派候補の劣勢を受けた投票意欲の低下に加え、期日前投票への不信感も一因だと報じられている。

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