児童見守る「防犯のプロ」増えぬ背景に予算不足 警察OBら全国配置も目標数の4割満たず 池田小事件24年

児童8人が犠牲になった平成13年の大阪教育大付属池田小の殺傷事件から24年が過ぎても、児童を狙った事件は後を絶たない。5月にも大阪市で小学生7人が車にはねられ重軽傷を負う殺人未遂事件が起き、見守り活動中の警察OBが容疑者を取り押さえた。ただ、全国の学校現場で警察OBの配置が進むが、国の目標には達していない。一因として不十分な報酬が挙がっており、専門家は「柔軟な予算措置が必要」と指摘する。 30年以上の刑事経験から「事件」と確信した-。5月1日、大阪市立小の正門付近で、市の非常勤職員「生活指導支援員」として下校を見守っていた元大阪府警警察官の男性(70)は、スポーツ用多目的車(SUV)が児童7人を次々とはねるのを目撃した。運転状況から故意と判断し、運転席の男(29)を引きずり下ろして取り押さえた。 男性の確信した通り、殺人未遂容疑で逮捕された男は「数人の小学生をひき殺そうとした」などと供述。現在は鑑定留置中だが、府警は無差別殺人を企てたとみている。 男性が務める生活指導支援員は、登下校の見守りだけではなく、いじめや問題行動を起こした児童・生徒にも対応する。市教育委員会によると、支援員69人のうち3分の2が府警OB。複数校を1人で掛け持ちする形で市内135の小中学校に配置されている。 ■応募しても集まらず 学校への警察OBの配置は、各地でさまざまな形で進んでいる。文部科学省が、経費の3分の1を補助して全国の自治体に配置するのは「スクールガード・リーダー(地域学校安全指導員)」。令和6年度は全国で1530人が活動した。 安全指導員はボランティアではなく、謝礼や旅費が支給される。登下校の見守り活動をしつつ、各校を巡回して教員やボランティアへ防犯に関するアドバイスをするといった指導的役割も担う。文科省によると、半数以上が警察OB。大阪府では政令市を除く18市町の小中学校に約40人の指導員が配置され、約9割が警察OBという。 安全指導員の拡充に向け機運が高まったのは、川崎市で令和元年、スクールバスを待っていた私立カリタス小の児童ら20人が殺傷された事件。これを受け、文科省は全国の指導員を4千人に増員する目標を設定した。

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