1910年の「大逆事件」で逮捕・起訴され、冤罪[えんざい]を訴え続けた坂本清馬(1885~1975年、高知県室戸市出身)の生涯を追ったドキュメンタリー映画「大逆事件を生き抜いた いごっそう革命児 坂本清馬」(仮題)の撮影が2日から5日まで、ゆかりのある熊本県内であった。 大逆事件は明治天皇暗殺を企てたとして、社会主義者の幸徳秋水ら24人が死刑判決を受け、うち12人が処刑された。坂本は無期懲役に減刑され、仮出獄後も再審請求し無実を訴えた。熊本関係では体制批判の「熊本評論」を創刊した新美卯一郎と松尾卯一太が死刑、関係のあった佐々木道元と飛松与次郎が無期に減刑された。 映画は、幸徳秋水を顕彰する会(高知県四万十市)などでつくる製作委員会が、坂本の没50年を記念して企画。映画監督の大塚正之さん(73)=千葉県船橋市=が脚本、演出を手がけ、1月に撮影を開始した。 熊本ロケでは、坂本が一時期身を寄せた熊本市の熊本評論社跡などを撮影。4日は山鹿市内を巡り、坂本と同じく秋田監獄に収監された飛松の旧居周辺、飛松の遺骨が安置されている本澄寺、境内にある県関係者4人の「犠牲者顕彰碑」などをカメラに収めた。松尾の出身地の玉名市も訪れた。