日大重量挙げ部 元監督を逮捕 奨学生から学費詐取疑い

入学金や授業料が免除される日本大の重量挙げ部の奨学生に虚偽の説明をし、学費を支払わせてだまし取ったとして、警視庁捜査2課が同部元監督の難波謙二容疑者(63)=東京都狛江市=を詐欺容疑で逮捕したことが捜査関係者への取材で判明した。 奨学金制度の対象の新入部員は、入学金や授業料の全額か一部が免除されるが、難波容疑者は「支払い免除は2年目から」と説明し、学費として現金を集めていたとみられる。警視庁は、難波容疑者が実績のある競技部の監督という立場を悪用し、不正な集金を20年近く続け、慣習化していたとみている。 捜査関係者によると、難波容疑者は2023年度までに、重量挙げ部に入部予定の奨学生の保護者に、免除されている入学金や授業料を入金するよう求める虚偽の請求書を送付し、現金をだまし取った疑いが持たれている。 請求書には「2年目以降、スポーツ奨学生として申請予定。1年目のみお支払いください」などと記載され、難波容疑者がコーチに指示して送付していたとみられる。保護者から部の銀行口座に振り込ませ、その後現金を引き出して私的に流用していたとされる。 同様の行為は20年近く続いていたとみられ、一部は詐欺罪の公訴時効(7年)が経過しているという。 不正について日大は24年7月に公表。生物資源科学部教授を務めていた難波容疑者を懲戒解雇処分とし、監督も解任した。12月には、難波容疑者が05年度以降、少なくとも部員58人から計約5300万円を不正に徴収していたとする調査結果を明らかにした。 日大は奨学生らに対する被害の全額弁済も進め、難波容疑者を詐欺容疑で刑事告発するとともに、立て替えた弁済分の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。 一方、難波容疑者は民事訴訟で、コーチへの指示を否定。「入学金などの工面が困難な学生らから『どうしても入学したい』と希望を受けた際、一定の寄付金を支払うのであれば奨学生として扱うと(学生側に)申し入れていた」などと弁解し、「詐欺行為をしたというのは全くの事実無根だ」と反論している。 日大重量挙げ部は個人・団体ともに全日本大学対抗選手権で数多くの優勝回数を誇るほか、オリンピックメダリストを出した名門とされる。【山本康介、長屋美乃里】

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