佐賀市の乳児院で、一時保護された子どもの母親が職員を切りつけ逮捕された事件は全国の施設の関係者に衝撃を与えました。国は、面会には必ず児童相談所の職員を同席させるなど対応の徹底を求める通知を出しましたが県内の施設の関係者は「現実的ではない…」と訴えます。 (かのや乳児院・ 躯川 恒 施設長) 「こういうことあるんだなと思って。絶句ですよね。言葉が出ない。えー?えー?」 こう話すのはかのや乳児院の責任者、躯川 恒 さんです。事件の当日、佐賀の乳児院から連絡を受けたと言います。 事件があったのは5月31日。佐賀市の乳児院で一時保護されていた2歳の女の子の母親が女性職員を包丁で切りつけ殺人などの疑いで逮捕されました。 母親は事件の約2週間前に別の福祉関係の機関で「子どもを返して」と叫んで暴れたため警察に保護されていました。 事件を受け、こども家庭庁は、一時保護中の子どもと保護者が面会する際は必ず児童相談所の職員が同席するなど適切な対応を求める通知を都道府県などに出しました。 しかし、鹿屋市の乳児院の責任者は今回の通知は現実に即していないと訴えます。 (かのや乳児院・ 躯川 恒 施設長) 「あくまでも国はこういうことが起きたから出しました。具体案が書かれているわけではないので…。読んだらわかるがこういうことがあったのでお気をつけください。徹底してください。やってるけどな…という感じ。実際は、児童相談所の職員が立ち会うことがあるが初回は立ち会うが2回目、3回目毎回、面会のたびに立ち会うかというと職員の忙しさからいうと現実的ではないですよね」 今回の事件は保護者と信頼関係を築き最終的には子どもを家庭に帰すことを目指す施設にとって難しい課題を突き付けました。 (かのや乳児院・ 躯川 恒 施設長) 「お父さん、お母さんと信頼関係を築くのが第一。今回みたいなことが起きると刃物持っていないか検査させてもらう。持ち物検査するのは現実的ではない。一方で危険性はある。表裏一体みたいな部分がある。非常に難しいなと思う」 全国児童養護施設協議会と全国乳児福祉協議会は内閣府の三原 じゅん子特命担当大臣に再発防止に向けた検証や児童相談所の体制の強化などを求める要望書を提出したということです。