福井市で1986年に女子中学生を殺害したとする罪で服役後、やり直しの裁判(再審)に臨んでいる前川彰司さん(60)について、支援者らは12日、早期の無罪確定を求めて2500人分超の署名を名古屋高裁金沢支部に提出した。判決は7月18日に言い渡される。 前川さんを支援する日本国民救援会によると、署名は全国から寄せられたという。同支部で3月に開かれた再審公判で、検察側は有罪を主張したものの新たな証拠は提出しておらず、無罪判決の公算が大きい。前川さんは、判決を前に「緊張しているが、事件についてやましいところはないので、『泰然自若』であろうとしている」と話した。 同支部は再審開始を決めた昨年10月の決定で、福井県警が作成してから34年以上、前川さん側に明らかにしていなかった捜査報告書などを「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」として認めた。前川さんは、再審における証拠開示がルール化されていないことを踏まえ、「再審法改正の議論につながるような判決を」と語った。 日本国民救援会の瑞慶覧淳副会長(68)は、前川さんと事件をつなぐ物証が、確定した有罪判決でも認められていないことを念頭に「本当なら逮捕も起訴もできなかった事件」と指摘。再審開始決定は、有罪判決の根拠となった知人らの供述について「捜査機関の誘導などの不当な働きかけの結果、形成されたのではないか」と言及しており、「(7月の再審判決は)長く彼を苦しめた捜査の問題を厳しく批判するものであってほしい」と述べた。(荻原千明)