【ニューヨーク＝本間英士】全米各地で14日に開催されたトランプ米大統領に対する大規模抗議デモ「ノー・キングス（王はいらない）」は、トランプ氏が首都ワシントンで軍事パレードを行ったのと同じ日に合わせて行われた。米メディアによるとデモは約2千カ所で実施された。移民政策などトランプ政権への反対を掲げ、今年1月にトランプ氏が大統領に復帰して以降、最大規模の運動となった。 デモ主催者によると、参加者は全米各地で数百万人規模に上り、不法移民の取り締まりを行う移民・税関捜査局（ICE）の対応を批判した。巨費がかかる軍事パレードをトランプ氏の誕生日である14日に開催したことも「軍の私物化」として批判の対象となった。 CNNテレビなどによると、移民政策を巡るトランプ政権への抗議デモが1週間以上続く西部ロサンゼルスでは2万人超が参加した。東部ニューヨークなどでも参加者がロサンゼルスのデモに共感を示すなど、一体化の動きを見せている。 トランプ政権がロサンゼルスのデモ対策として州兵や海兵隊員の派遣を決めたこともデモの拡大に拍車をかけている。デモ参加者は「海兵隊の派遣は明らかに過剰な対応で許せない」と語った。 一方で、ロサンゼルスのデモでは参加者の一部が暴徒化している。同市中心部では混乱に乗じた略奪や暴行が発生。一部区域では夜間外出禁止令が出され、数百人の逮捕者が出た。米メディアによると、14日もロサンゼルスでデモ参加者が警官隊に投石したほか、西部オレゴン州ポートランドではデモ隊と衝突した治安当局の4人が負傷した。 トランプ氏は交流サイト（SNS）で「私が軍隊を派遣していなかったら街は燃え尽きていた」と成果を強調した。調査会社ユーガブが10日に行った調査では、47％が海兵隊派遣に反対した一方、34％が支持しており、二極化が鮮明になっている。