至宝は〝国民的スター〟になれるのか。サッカー日本代表の森保一監督(56)が16日、都内の日本記者クラブで会見を行った。来夏の北中米W杯へ向けたチームづくりや目標など多岐にわたるテーマを力説。そして特に熱がこもったのが、かねて待望される〝サッカー界の大谷翔平〟を巡る議論だ。指揮官はMF久保建英(24=レアル・ソシエダード)に特大の期待を寄せているが…。 この日の会見はサッカーを幅広い層に発信する機会として設けられ、森保監督はさまざまな話題について率直に語った。 6月の代表活動では、昨年7月に不同意性交容疑で逮捕され、その後に不起訴処分となったMF佐野海舟(マインツ)の復帰が注目された。そのため、佐野が注目度の大きい代表でプレーすることで二次被害につながる恐れを指摘する質問も。「相手方へ配慮する必要があり、このような事案で苦しんでいる方をより苦しめることはあってはならない。しかしながら、何か罪を犯し、過ちを犯したことがある人を社会から葬り去っていいのかというところも考えている」と再チャレンジの重要性を説いた。 来夏の大舞台へ向けては「これからW杯で優勝する、世界一になることを目標にしているチームなので、自分たちが今発揮できる能力をさらにパワーアップして成長した中でW杯を迎えたい」と力強く宣言する。 ただ、祭典を前にサッカーが盛り上がりに欠ける現状もある。人気低下も指摘される代表チームにあってスーパースター誕生も課題の一つ。そこで、野球界の大谷翔平投手(30=ドジャース)のような国民的スターの育成論について質問を受けると、こう答えた。 「スターの存在はとても大切。大谷さんのような世界のホームラン王になれる、MVPを取れるような選手が出てほしい。そういう選手がサッカーの舞台では、将来的にバロンドールを取れるように願っている」。続けて「最初からまだ実力もない中から、スター選手としてつくり上げることは本人のプレッシャーにもなると思うし、全体的な競技力を上げてこそのスーパースター」と持論を展開した。 現状、サッカー界で大谷に近づける可能性を秘めている一人が久保だ。今回の代表活動では栄光の10番を初めて背負い、10日のインドネシア戦ではキャプテンマークの大役まで託されて1ゴール2アシストと大活躍。森保監督は「(リオネル)メッシではなく、キャプテン翼になってほしい。世界のトップを取れるような選手に、さらに成長していってほしいなと期待している」と大谷のように〝漫画の世界〟レベルのスーパースターになるようゲキを飛ばした。 久保が大谷級に化けるか否かは、目標とするW杯優勝にも実は直結してくる。日本サッカー協会幹部は、祭典で優勝を実現させる条件を複数挙げた上で「大谷くんやメッシのようなスケールのスターが必要。W杯で優勝する国には、必ずそういう選手がいて、だからこそ国民全体で一体となって盛り上げる雰囲気が生まれる」と力説。久保の〝大谷化〟は、悲願成就のためにもマストなのだ。至宝が列島に大フィーバーを巻き起こす日は来るのか。