インプラント治療の患者にうその説明をして現金をだまし取ったとして、千葉県警は19日、茨城県古河市の歯科医師、高橋仁一容疑者(58)を詐欺の疑いで逮捕した。県警によると、高橋容疑者のインプラント治療を巡って、十数人の患者から計1億円以上の詐欺の被害届や相談が寄せられている。 逮捕容疑は2021年3月、自身が経営していた歯科医院「高橋デンタルオフィス」(千葉市中央区、現在は閉鎖)でインプラント治療を申し込んだ千葉県内の女性患者(50代)に虚偽の説明をして、現金200万円をだまし取ったとしている。高橋容疑者は調べに対し「弁護士と話すまで黙秘する」と話しているという。 県警によると、高橋容疑者は女性に対して、女性の症例を講演会の資料として提供し、支払い済みの治療費と同額の現金200万円をインプラントメーカーに提供すれば、後日メーカーから計400万円が返金されると説明。その翌日に女性が現金200万円を渡したという。 女性によると、高橋容疑者は「スイス製のインプラントが輸入できなくなった」などと説明して、手術の延期を繰り返した。女性は返金を求めたが、高橋容疑者は応じていない。 破産管財人によると、高橋容疑者は24年に約18億円の負債を抱えて破産手続きを開始した。以前から家賃を滞納しており、クリニックが自転車操業になっていた可能性がある。 インプラント治療は歯を失った場合に、あごの骨に人工歯根を埋め込んで土台を作り、人工の歯を取り付ける治療法。元々あった自分の歯に近い状態でかむことができる。【林帆南、高橋晃一】