Aさんが店長を務めるファミリーレストランは、週末のランチタイムになると家族連れや若者たちでいつも満席になります。その日も例外ではなく、店内は活気と美味しそうな匂いに満ちていました。次々と入るオーダーをこなし、スタッフたちが忙しく立ち働くいつもの光景がそこにはありました。 しかし、突然の男性客の怒鳴り声がいつもの光景を一変させます。Aさんがホールに出て状況を確認すると、入ったばかりのアルバイトの学生が、中年男性のお客様の前で青ざめた表情で立ち尽くしています。どうやら「ハンバーグのソースを間違えて提供してしまった」という単純な配膳ミスが原因のようです。 ただ、ミスの内容から想像もできないほどに、男性の怒りは常軌を逸していました。真っ赤な顔で仁王立ちになり、アルバイトに向かって責任者を呼ぶよう叫んでいます。 慌てて駆け寄ったAさんが、アルバイトの代わりに謝罪をしようとすると、男性の怒りの矛先はAさんに向かいます。男性は「お前もこのアルバイトと一緒に土下座しろ」と信じられないような要求を突き付けてきます。 Aさんは警察を呼ぶべきかとも考えましたが、事を荒立てて店の評判に傷がつくことを懸念し、すぐに行動できませんでした。このように怒った挙句に土下座の強要をしてくる客は、法律的にどう判断されるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。