「被告人は自身がプロの卓球選手であること、卓球の指導者であることを利用し、卓球の指導の一環だとしてマッサージやストレッチという言葉を使えば、目撃者のいない卑劣な性暴力は罪に問われないと、高を括っているのではないでしょうか」 元卓球日本代表でプロ卓球選手でもある小西海偉(かいい)被告(44)からわいせつな行為を受けたとされる女性・Aさんは、公判の中でこのように怒りを滲ませた。 「’24年8月20日、埼玉県警蕨署は不同意わいせつの疑いで小西被告を逮捕しました。8月7日に自身がコーチを務める『WEILAI(ウェイライ)卓球スクール』で生徒の母親である40代女性のAさんにわいせつな行為をした疑いがもたれています。また、その約1ヵ月後の9月30日にも、’19年6月初旬に、同じく生徒の母親である30代女性Bさんにわいせつな行為をした準強制わいせつの疑いで再逮捕しています。 『WEILAI卓球スクール』は元オリンピック日本代表選手でもある妻の小西杏さんが運営する卓球教室。検察は、Aさん、Bさん、さらに事件当時10代だったCさんを加えた3人に対しての不同意わいせつや準強制わいせつで小西被告を起訴しました」(全国紙社会部記者) 6月10日にさいたま地裁で小西被告の第2回公判が開かれた。初公判で小西被告の弁護人は「あくまでマッサージの一環でわいせつな行為はしていない」と無罪を主張した。第2回公判では、Aさんの証人尋問が行われ、衝立の向こうから聞こえるAさんの証言を、中国語の通訳が小西被告のために通訳していた。検察官の質問に答えるかたちで、Aさんは事件があった日のことを話し始めた。 ◆「何度も下半身を押し当ててきました」 「その日、私はウェイライ(卓球スクール)に息子を送った後、自宅にいました。すると、知らない番号から私のスマホに電話がかかってきたのです。電話に出ると、息子が出て『お母さん、いまからウェイライに来れる?』と言いました。 え、どうしたの? と聞くと、私の話が終わらないうちに小西海偉が電話に出て、『息子さんは最近だらけているので、これから別の生徒と試合しますから応援に来てくれませんか』と言われ、さらに『このことは(小西)杏先生には絶対に内緒にしてください。杏先生に言うと、今後、見学できなくなりますよ』と言われました。 私は状況をよく理解できず、杏先生になぜ秘密にするのかもわかりませんでしたが、慌ててウェイライに向かいました」 Aさんがウェイライに到着すると、ちょうど息子が試合中だった。試合が終わると、小西被告は息子ともう一人の生徒にランニングを命じたという。 「小西海偉は『いつものところを5周な。ゆっくりでいいぞ』とランニングを命じ、『お母さんは、先生と卓球するから』と言っていました。私に、『上に羽織ってるものは脱いだほうがいいですよ』と言い、それから2~3分、卓球をした後、『こっちに来てください』と奥の休憩スペースに向かったのです」 小西被告に誘われるままAさんが休憩スペースに入ると、なんの前触れもなくマッサージが始まった。 「照明が落としてあり、部屋の中にはマットが敷いてありました。そのマットの上で、『こういう姿勢、できますか」と私の右隣で小西海偉が四つん這いになり、背中を丸めたり反らせたりし始めたのです。私は卓球の経験があり、ラリーをしていた時に姿勢の指導を受けていたので、姿勢を直すための運動を指導してくれていると思いました。 私が四つん這いになって同じような動きをすると、突然、被告人は私の後ろに回り、腰を両手でつかむと下半身を押し当ててきたのです。私は頭が真っ白になり、パニックで混乱して体が動かなくなりました。私が被告人を怒らせずにこの状況を変えないといけないと思っている間も、被告人は何度も下半身を押し当ててきました」 その後も小西被告はうつ伏せや立った状態を命じて、Aさんの身体を触ったり、執拗に下半身を押し当てたりしたという。 ◆ズボンの真ん中が隆起していた 「その後、被告人はどうしましたか」 という質問にAさんはこう答えた。 「息子と生徒さんがランニングから帰ってきて、ドアの開く音が聞こえました。すると、飛び跳ねるように私の身体から離れ、明るい入り口のほうに向かいました」 そして、明るいところで見た小西被告は、とても単にマッサージをしていただけとは思えない姿だったとAさんは語る。 「被告人は半袖に短パンの卓球のユニフォームを着ていました。そのズボンの前側の真ん中が隆起していたのです」 そして、Aさんは小西被告から性暴力を受けた後、被害届を出すまでの経緯をこのように説明した。 「(被害に遭った)翌日、杏先生に会って、小西海偉から性被害を受けたこと、もう二度と小西海偉が息子を指導することがないようお願いしました。しかし、『杏先生には秘密ですよ』という小西被告との約束を破ったことに息子は激高し、さらに『海偉先生との練習のほうが楽しかった』とまで言われてしまいました。 私はもう、被害を隠したままで息子を納得させることはできないと思い、『海偉先生から嫌なことをされたんだよ』と説明したのです。私の意に反して息子に被害が知られてしまったことや、『犯罪だから警察に届けよう』という母の後押しもあり、警察に被害届を出しました」 最後に、検察官から「今回の被害をどのように考えていますか」と聞かれたAさんは冒頭のように述べ、こう続けた。 「一生懸命、卓球を頑張る子供たち、それを心から応援する家族。そういう人たちがもう二度と被告人から性暴力を受け、苦しむことがないよう、厳罰を心から望みます」 聞かれたことに対し、努めて冷静に答えようとしていたAさんだが、時に声を荒らげて怒りを滲ませ、また涙声になることもあった。 一方、小西被告は、Aさんが、性暴力について具体的に証言し始めると、顔に笑みを浮かべながら何度も首を左右に振っていたのだった。 無罪を主張している小西被告側は、マッサージ中偶然に下半身が当たったと主張したいのか、弁護人はAさんに「指導者である海偉コーチが、陰茎がたまたまでも当たらないように配慮するのは当然だと思いますか?」という質問をしていた。それに対してAさんは「質問の趣旨がわかりません」と困惑した様子で答えたのだった。 小西被告から被害を訴える人たちが納得するような説明はあるのだろうか。今後の公判が注目される。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit