医師資格を持たずに病院で勤務し、担当した患者2人の死亡事件に関与したとして指名手配されていたフェルナンド・エンリケ・ダルジス容疑者(43歳)が24日、サンパウロ州グアルーリョス市で警察に自首して逮捕された。彼は裁判を回避するために自らの死亡診断書を偽造し、市営霊園に埋葬されたかのように装って逃亡していた。25日付G1などが報じた。 ダルジス容疑者は2011年、偽造した医師免許を用いてソロカバ市のサンタカーザ病院で勤務を開始し、患者を診察していた。同年、心臓の痛みを訴えて来院したエレナ・ロドリゲスさんを腰痛と誤診し、心筋梗塞を見逃したとされる。彼女は数時間後に心臓発作で死亡し、ダルジス容疑者は未必の故意による殺人罪で起訴された。 翌2012年には、別の患者テレジーニャ・モンチセリ・カルヴィンさんが、ダルジス容疑者の診察を受けた後、適切な対応が行われなかった結果、集中治療室(ICU)で死亡したとされ、彼はこの件でも責任を問われている。 ダルジス容疑者はその後、法的責任追及を免れるため、自身の姓を改名し、自身の偽の死亡診断書を作って市営墓地に埋葬されたことを証明する書類も偽造するなど、繰り返し偽装工作を行った。 ダルジス容疑者が「埋葬された」とされていた墓地には、実際には「エリアス」という99歳の男性が埋葬されていたことが判明している。エリアス氏は2025年1月6日に死亡し、同日に埋葬されたことが霊園の記録に残されている。だが、墓碑にはダルジス容疑者の名前が記載され、死亡日は2025年1月5日、埋葬日はその翌日となっていた。 その後、ダルジス容疑者が生存していることが明らかになったのは、グアルーリョス市の公証人事務所を自ら訪れ、偽造された死亡証明書の情報を更新しようとしたことが発端だった。証明書に署名したとされる医師は、書類への関与を否定しており、診断書自体が偽造であったことが確認された。ダルジス容疑者はその後、グローボ局の取材で「絶望的な状況で、自分一人で行動した」と釈明している。 ダルジス容疑者は現在、殺人罪および書類偽造罪で起訴され、逮捕されている。エリアス氏の遺体が誤ってダルジス容疑者のものと記録されていたことが判明したことを受け、グアルーリョス市当局は詳細な調査を開始。遺体の身元確認と経緯の解明に向け、DNA鑑定の準備を進めている。 市当局は、霊園での情報偽造に関与した人物を追及し、公務員が関与していた場合は厳重に処分する方針を示した。検察は事件に関与した可能性のある他の協力者の追跡と遺体検証の準備を進めている。