〈座間9人殺害事件〉白石隆浩死刑囚の刑執行 接見の際に本誌記者に語った「カネしだい」享楽的な言葉

6月27日、法務省は、’17年に神奈川県座間市のアパートで9人を殺害したとして、強盗・強制性交殺人罪などで死刑が確定していた白石隆浩死刑囚の刑を執行した。 事件が発覚したのは’17年10月31日に遡る。神奈川県座間市のアパートで9名のバラバラ遺体が発見されたのだ。 「最初の被害者は、自殺願望をTwitter(現X)で投稿した女性でした。白石死刑囚は自殺を思いとどまらせて、同棲を持ちかけます。その後、女性のおカネで事件現場となったアパートを借りて一緒に住むようになりますが、いずれ女性が自分から離れていくと感じ、女性を殺害しました。 この時、性的快感と金銭を楽に手に入れられると感じ、それからわずか2ヵ月間で7人の女性に性的暴行を加え、殺害。金品を奪います。さらに、被害者の知人だった男性1人を口封じと金品を奪うために殺害しています」(全国紙社会部記者) 東京地裁立川支部で開かれた裁判では、殺害の同意を得ていたとして、法廷刑の軽い承諾殺人罪の適用を訴えたが、’20年12月の判決では、それらを認めず死刑を言い渡した。 弁護側は判決を不服として東京高裁に控訴したが、白石死刑囚自身が取り下げ、’21年1月5日に死刑が確定していた。 『FRIDAY』が白石被告に初めて接見したのは、逮捕から約1年後の’18年9月21日のことだった。当時、接見は一日1社のみ。当日は、他のメディアも面会を申し込んでいたが、彼が選んだのは本誌だった。接見の内容を伝えた当時の記事を振り返る。 ◆「おカネさえくれれば、何でも」 接見当時の様子を、本誌の記事では次のように報じていた。(以下、当時の記事から引用。名称なども当時の表現で掲載しています) 「(指で丸を作りながら)コレ次第。おカネさえくれれば、何でも話します」 SNSを通じて知り合った男女9人が殺害された、「座間事件」から約1年。強盗・強制性交殺人などの容疑で逮捕・起訴された白石隆浩被告が’18年9月21日、本誌の接見に応じた。 午前10時20分頃、勾留先である高尾警察署(八王子市)の面会室に現れた白石は、事件当時とは変わり果てた姿だった。上下ともに無地でグレーのスウェット姿に、四角い黒縁メガネ。ボサボサの髪は肩まで届くほど長く、痩せこけた頬やアゴに無精髭をはやしている。 彼はなぜ本誌の取材に応じたのか。無表情で記者に一礼して着席した白石にまずはそれを聞いた。 「週刊誌の人なら、やっぱりコレ(カネのジェスチャー)を出してくれるんじゃないかなと思って……。以前手紙や雑誌の差し入れをくれた講談社の人に会おうと思って指名しました」 接見は事件について聞くことが禁じられているため、留置場での生活について尋ねると、食事への愚痴をこぼし始めた。 「留置場の食事は朝昼晩3食出るのですが、パンにジャムを付けて食べるみたいな、質素なものばかりでパッとしないので……。今、人生で一番の楽しみは食事。おカネがあれば、より魅力的なメニューが食べられます」 またもやカネの話になったのが気にかかったが、20分と限られた接見時間をムダにはしないため、質問を続ける。だが、現在の心境を尋ねると、白石は冒頭のように語り、押し黙ってしまった。それ以降は何を聞いても、「カネ次第」と答える。 なぜ、白石はこれほどまでにカネを要求するのか。カネを渡せば何を語るというのか――。白石の本意を探るべく、本誌は接見後、上限額である3万円を差し入れた。すると、’18年9月25日、白石は再び接見に応じ、前回とは打って変わった様子で、笑みを浮かべながら語り始めた。 「3万円が入ってきて、かなりテンションが上がりました。現金のつながりがある限り、フライデーさんと会いますよ」 勾留中の身で、カネを何に使うのか。 ◆「女遊びももっとしたかった」 「400円で唐揚げ弁当を買いました。正直、おカネを持っていると、拘置所に行った時の生活が全然違うんですよ。拘置所には売店があってチョコパイ、板チョコ、アンパン、クリームパンがあります。おカネがないと本当に辛いと中の人からも教えてもらったので、出来るだけ蓄えて拘置所に行きたい。定期的に現金を差し入れてもらえるなら、これからは手紙も書きます。フライデーさん宛てだけじゃなく、僕の両親に向けての(懺悔の)手紙も書きますよ。値段は宛先によって変えますが」 記者の目を見つめながら、ベラベラと喋り続ける白石。しかし、両親との関係に話が及ぶと、ほんの一瞬だけ顔をしかめた後、困惑した表情でこう話し始めた。 「両親……からの連絡は一切ありません。差し入れも、面会申請もないです。 親にはあわせる顔がないほど迷惑をかけたと思っています。でも、面会に来たら会って謝りたい気持ちも……。ただ、本当に来てほしいかと言われると内心は複雑です。会いたいような会いたくないような……」 当時は、1審判決前だったが、極刑の可能性が高いことは本人もわかっているはずだ。人生の心残りはないのか。最後に聞いた。 「やっぱり、もっと美味いものが食べたかった。好きだった『蒙古タンメン中本』のラーメンとか……。あとは女遊びももっとしたかったなって。本当に普通のことですけどね」 確かに、カネを貰ったことで饒舌にはなったが、事件への反省や、被害者への謝罪はない。それどころか、8人の女性を殺しておいて、平然と女遊びがしたかったと笑顔で言ってのける。カネをせびる理由も、ただ拘置所での食生活を充実させたいから――。2度の接見で浮かび上がったのは、あまりに享楽的で自己中心的な白石という男の人物像だった。

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