「同乗案件」初摘発 逮捕の容疑者「本社が違法ではないと…」と供述

貨物運送の届け出で依頼主の作業員を荷物と一緒に有償で運んだとして、警視庁交通捜査課は8日、運送会社「軽急便」(名古屋市中区)の東京営業所の所長ら男性2人を道路運送法違反(無許可経営)の疑いで逮捕したと発表した。警視庁によると、依頼主側の人とともに荷物を運ぶ「同乗案件」と呼ばれる行為の摘発は全国初という。 東京営業所では2019年以降、同乗案件で2社から約1億500万円を売り上げたとみられる。警視庁は、軽急便が依頼主の要望に応じることで荷物運搬の契約を獲得し、依頼主は業務の効率化や経費削減をしていたとみている。 逮捕されたのは東京営業所の前所長、橋川達哉(32)=埼玉県越谷市=と現所長、加藤尚(49)=千葉県市川市=の両容疑者。 逮捕容疑は24年3~5月に24回にわたり、国土交通相の許可を得ないで、電機メーカー2社の作業員計17人を部品と一緒に軽ワゴン車に乗せ、有償で運んだとしている。 橋川容疑者は「得意先の要望に応えて専属的な契約をとるためだった」と容疑を認め、加藤容疑者は「本社が違法ではないとの見解を示していた。旅客運送の対価をもらっていないので違法ではないと思った」と否認しているという。 警視庁によると、依頼主が24回の運搬費として支払った約59万円のうち軽急便の取り分は約9万2000円だった。警視庁は人の送迎の対価が含まれているとみている。 軽急便は、全国で個人事業主の運転手約1150人と荷物運搬の業務委託契約をしている。同乗案件は東京近郊の支店で実施されていたとみられ、23年11月に同業者から違法性を指摘する相談が警視庁にあり、発覚した。 警視庁は、法人としての軽急便と運転手7人も無許可経営の疑いで、東京営業所を管轄する東京支店の男性支店長(53)と依頼主2社の担当者2人を無許可経営ほう助の疑いで書類送検した。運転手7人は容疑を大筋で認め、支店長と依頼主2人は否認しているという。【菅野蘭】

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