【速報】患者の死亡を巡る「湖東記念病院冤罪事件」やり直しの裁判で無罪確定した女性が国と滋賀県に賠償を求めた裁判 大津地方裁判所が滋賀県に賠償を命じる 国については棄却

滋賀県の病院で入院患者が死亡したことを巡る冤罪事件で、やり直しの裁判で無罪が確定した女性が、「違法な捜査によって有罪に追い込まれた」として、国と滋賀県に損害賠償を求めた民事裁判で、大津地方裁判所は滋賀県に対し、およそ3000万円の賠償を命じる一方、国に対する訴えは退けました。 滋賀県の湖東記念病院の看護助手だった西山美香さん(45)は2003年、入院患者の人口呼吸器のチューブを外して殺害したとして逮捕・起訴されました。 当時の逮捕の決め手は西山さんの“自白”でした。 【西山美香さん(2017年取材)】「(患者が)亡くなった時の写真を机に並べて、『これを見て何も思わないのか、責任を感じないのか』と。厳しい取り調べを受けていたから『否認しても無理や』と思って…この人(刑事)のいうことを聞いておかないと、痛い目に合うからと思って自白した」 取り調べが続く中で刑事に好意を抱いてしまったという西山さんは、うその自白をしてしまい、殺人の罪で有罪判決となり12年間服役しました。 その後西山さんが求めて実現したやり直しの裁判で2020年3月、大津地方裁判所は、西山さんに軽度の知的障害などがあることに加え、取り調べに迎合しやすい傾向があると指摘し、滋賀県警が西山さんからウソの自白を引き起こしたことを認定。 さらに患者の死亡について事件性自体を否定し、無罪を言い渡し、その後、確定していました。 判決言い渡しの際に大津地裁は、解剖医が“病死”の可能性に言及した重要証拠を、滋賀県警が検察に送っていなかったことについて、「適切に開示されていれば起訴されなかったかもしれない」と、苦言を呈していました。 無罪の確定を受けて西山さんは、「違法な捜査によって有罪に追い込まれた」として、国と滋賀県におよそ5500万円の損害賠償を求める民事裁判を起こしていました。 これまでの民事裁判で西山さん側の弁護団は、滋賀県警が見立てに沿った調書を作成したり、検察に患者が病死した可能性に関する捜査資料を送らずに事実上「隠ぺい」したりしたと主張。 一方で滋賀県側は西山さんに対する取り調べに違法性はなく、国側も捜査に問題はなかったとしていずれも訴えを棄却するよう求めていました。 またこの裁判をめぐっては、滋賀県警が当初「被害者を心肺停止に陥らせたのは西山さんだ」と無罪判決を否定する書面を作成し、その後、当時の本部長が謝罪・訂正していました。

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