1986年に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件の裁判をやり直す再審公判で、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)は7月18日、殺人罪で懲役7年の実刑判決が確定し服役した前川彰司さん(60)=同市=の一審福井地裁の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した 前川さんは事件の翌87年に逮捕され、一貫して無実を主張。90年に一審福井地裁で無罪判決を受けたが、95年に二審高裁金沢支部で懲役7年の逆転有罪判決を受け、その後確定した。第2次再審請求審で高裁金沢支部は昨年10月、有罪の根拠となった関係者供述の信用性を否定し、再審開始を決定した。検察は異議を申し立てず確定。今年3月に再審初公判が開かれ、即日結審した。 ■福井・女子中学生殺害事件 1986年3月19日夜、福井市の市営団地で住人の中学3年の女子生徒が殺害された。県警は約1年後、殺人容疑で前川彰司さんを逮捕。90年の福井地裁判決は無罪だったが、名古屋高裁金沢支部は95年、逆転有罪とし、心神耗弱を認め懲役7年の判決を言い渡した。最高裁も支持して確定。前川さんは満期出所後の2004年、第1次再審請求した。高裁金沢支部は11年、再審開始を認めたが、検察側が異議を申し立て、名古屋高裁が13年に再審開始決定を取り消した。22年に第2次請求し、高裁金沢支部は昨年10月に再審開始決定を出した。検察は異議を申し立てず、今年3月に再審初公判が開かれ、即日結審した。