「無人機浸透」キム・ヨンデ前ドローン司令官の拘束令状棄却

「北朝鮮平壌(ピョンヤン)無人機浸透作戦」の実行者であるキム・ヨンデ前ドローン作戦司令官の拘束令状が21日、棄却された。非常戒厳宣布の正当化を得るという「北風誘導」を目的として無人機作戦が実行されたかどうかを究明している特検チームの捜査に、支障が生じるものとみられる。 ソウル中央地裁のナム・セジン令状専門部長判事は、「容疑者は、事実関係はおおむね認めており、基本的な証拠が収集されている点、捜査手続きにおける容疑者の出頭状況および供述態度、容疑者の経歴、住居および家族関係、現段階での拘束は容疑者の防御権を過度に制限することになる点などを総合すれば、拘束の理由と相当性を認めることは難しい」と述べた。 チョ・ウンソク特別検察官チームは今月18日、逃走や証拠隠滅の恐れなどを理由としてキム司令官を緊急逮捕するとともに、20日に虚偽公文書作成および行使、職権乱用、公電子記録偽造、軍刑法上の虚偽命令容疑などを適用して拘束令状を請求していた。特検チームは、キム司令官が尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領、キム・ヨンヒョン前国防部長官と共謀し、昨年10から11月にかけて平壌に無人機を飛ばして軍事的緊張を招き、平壌に無人機が墜落したことで軍事上の利益を阻害(一般利敵容疑)したとみている。 特検チームは、この過程でキム司令官が平壌に無人機を送ったことを隠すために虚偽の公文書を作成し、それを隷下の部隊員に指示するなど、職権を乱用したとみている。特検チームは前日の拘束令状で、外患容疑を除く虚偽公文書作成容疑などのみ容疑として優先適用していた。 キム前司令官の弁護人を務めるイ・スンウ弁護士はこの日、令状審査の終了後に記者団に対し、拘束令状請求書に記載された容疑を概ね認めつつも、秘密軍事作戦だったことを考慮すれば不可避性があり、証拠隠滅や逃走の恐れはないと強調した。イ弁護士は「対北朝鮮作戦に関する問題で事実関係に合致するかたちで文書をまとめたとか、関連する作戦情報をそのまま文書で残さなかったという誤りがあるということは認めた」としながらも、「(証拠隠滅に当たる)行動はまったくなかったし、携帯電話は4年間変更した事実もなく、盗聴防止機能付き電話のサーバは首都防衛司令部に保管されている」と述べた。続けて「軍人であるわけで、(逃走すれば)脱営だ。どうなるか知っているはず」と述べ、逃走の恐れもないと強調した。拘束令状に記載された犯罪事実ではないものの、特検が家宅捜索令状に記載した一般利敵容疑については、「一般利敵についてのいい加減な法理展開については、非常に格別な懸念を伝えた」として、「(特検チームが令状審査で)一般利敵容疑の調査のために絶対に身柄の確保が必要だと言ったのは、捜査便宜的な発想」だと主張した。 特検チームは、キム前司令官を今後も出頭させ、外患疑惑を含めた容疑の補強に向けた捜査を進める方針だ。 カン・ジェグ、パク・チャンヒ記者 (お問い合わせ [email protected] )

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