売春の客待ち、いわゆる“立ちんぼ行為”が社会問題化する東京・新宿区の公園にいま、ある変化が起きているといいます。その実態をJNNのカメラがとらえました。 東京・歌舞伎町の一角。大久保公園の周辺には、売春の客待ち=“立ちんぼ行為”をする女性と、“交渉”を持ちかける男性が夜な夜な訪れます。 フェンスには、「客待ち」も「買春」も、いずれも「犯罪です」と示すポスターも貼られていますが、取材に訪れた記者に対しても… 男性 「いくらだったらOK?1.5(万円)しかないもん。ちょっと歩こう」 勘違いをしたのでしょうか、多くの男性が絶え間なく声をかけてきます。 そんな場所でおととい、ある悪質な“立ちんぼグループ”に捜査のメスが。 捜査員 「15時49分、売春防止法で通常逮捕します」 逮捕されたのは、内山夢叶容疑者(24)ら4人。大久保公園近くで、売春の客待ちをした疑いがもたれています。 ホストクラブで遊ぶ金を稼ぐなどの目的で4人は路上に立ち、うち1人は2年間でおよそ1億1000万円を稼いでいたということです。 逮捕直前、内山容疑者の様子をカメラが捉えていました。男性から受け取った現金をカバンに入れる内山容疑者。夜の街へと消えていきました。 いま、大久保公園の周辺で起きている異変。 記者 「外国人観光客でしょうか。どこかへ向かうようです」 買春目的とみられる外国人観光客の男性が目立つようになっているのです。 記者が取材中にも…。 シンガポールから来日 「英語、話せますか?」 記者 「少しなら」 シンガポールから来日 「私と一緒に来ませんか?これから(宿泊している)ホテルに戻ります」 記者 「なぜ、ここに来たのですか」 シンガポールから来日 「ぶらぶらしたり、ご飯を食べに。どこか一緒に行きませんか」 日本語ではなく英語のため、ぎこちないやり取りに。 これに目をつけたのが、内山容疑者ら“立ちんぼグループ”だったのです。 内山容疑者 「売春相手の男性は日本人が2割、外国人が8割だった」 捜査関係者によりますと、内山容疑者らは日本語が得意でない外国人観光客などを狙い、金をだまし取っていたとみられるということです。 その手口はこうです。 男性 「1万円しか払えない」 女 「1万円でいいよ」 金額の交渉が成立し、ホテルの部屋に入ると…。 女 「先に1万円を払って」 女は約束の「1万円」を受け取ると、「1万円でホテルまで来た。これでおしまい」と、部屋を出ようとします。 返金を求める男性。すると別の女が現れて「お前か」などと怒鳴りつけ、男性はホテルから立ち去らざるを得なかったということです。 警視庁によりますと、ほかにも外国人観光客などから、同様の被害を訴える通報がおよそ9か月で11件寄せられているということです。 “立ちんぼ行為”の横行する大久保公園周辺に、なぜ外国人観光客が集まるのでしょうか。実際に訪れた外国人観光客に取材すると。 韓国から来日 「歌舞伎町に(女性と)性的関係を持てる通りがあると紹介しているYouTuberがいます」 こちらはフィンランドから来たという男性。見せてくれたのは、TikTok動画です。 日本に関する動画を見ていたところ、おすすめ動画をとして“立ちんぼ行為”をする女性の映像が表示されたといいます。 フィンランドから来日 「(Q.どれくらいの動画がありますか?)かなり多いです。日本独特な光景だと思います」 実際に女性とホテルに行ったという観光客は。 フランスから来日 「ここは最高の場所です」 買春を目的に外国人観光客が訪れる状況は、国会でも問題視されています。 立憲民主党 山井和則 衆院議員 「外国人男性が東京にセックス観光に来る。こういう現状というのは、本当に放置していいんでしょうか?」 現在の法律では、買春は禁じられているものの、買春する側に罰則規定はありません。 女性の性的搾取の問題に取り組むNPO法人の代表は、こう指摘します。 NPO法人ぱっぷす 金尻カズナ理事長 「(現状では)やっぱり買う側が全く処罰されずに声をかけ放題。買う人たちがいなければ、(女性が)性を売らざるを得ない状況になることはない。一刻も早く法律による罰則が必要」