伊万里市東山代町の住宅で母娘が刃物で切り付けられた強盗殺人事件で、男が侵入した後に玄関が施錠されていたことが29日、捜査関係者への取材で分かった。現場付近の路上で、血の付いた作業用の手袋も発見された。佐賀県警は、逮捕したベトナム国籍の技能実習生ダム・ズイ・カン容疑者(24)が事件の発覚を遅らせようと鍵をかけた可能性があるとみて、当時の状況を調べている。 県警によると、現場では玄関の土間から室内に向かった足跡や室内が荒らされた形跡があった。女性(40)が玄関で倒れていて、70代の母親は玄関とは別の出入り口から逃げ出した。現場近くにカン容疑者が住む寮があった。2人とカン容疑者との間にトラブルなどは確認されていない。 事件発生時、現場近くに住む男性は、けがを負った母親が住民に介抱されている所から数メートル離れた壁の陰で顔を出してのぞく外国人風の男を見かけた。追いかけたが、見失ったという。 県警によると、事件は26日午後4時20分ごろ発生。インターホンが鳴り、母親が玄関を開けると男が侵入して現金を要求した。女性が現金を2度出した後、抵抗したところを切り付けられ、殺害された。 関係者によると、女性は中国江西省の景徳鎮陶磁大学の日本語講師だった。2012年9月から3年半、同大学に勤務した後、19年から再び勤めていた。6月末に大学が夏季休業に入って以降、一時帰国中だった。 女性の通夜が29日、伊万里市内の斎場で営まれた。(井手一希、沖田日和、大田浩司)