マーカス・モリスが詐欺容疑で逮捕された事件について、現地メディア各社が続報を報じた。事態は想像以上に深刻な様子で、『TMZ』や『Los Angeles Times』によると、モリスは額面1200ドル(約18万円)超の小切手を詐取目的で振り出した罪と、10万ドル(約1480万円)以上の窃盗の重罪により、身柄移送指示を待つ身になっているという。 NBAで13年のキャリアを持つ曲者フォワードは、7月28日(現地時間27日)、フロリダ州フォートローダーデール・ハリウッド国際空港に到着直後、ネバダ州発行の州外逮捕令状に基づき逮捕。他州にまたがる事件であることから、保釈金の設定はなく、ブロワード郡保安官事務所に拘束されている。 マーキーフ・モリスは「言葉遣いが狂ってるよ。たかがあの金額で、空港で家族と一緒にいるところを恥さらしにするなんて、ふざけている。みんながこの件の本当の話を聞いたら……。俺が言えるのは『勉強になった』ということだけだ」と、双子の弟を擁護。この発言によって、事はそこまで重大ではないと思われていたが、金額は想像を絶するものだった。 ラスベガス治安判事裁判所の記録によれば、モリスは2024年5月、『MGMグランド・ホテル&カジノ』で小切手を使用し11万5000ドル(約1700万円)を取得したが、不渡り(支払期日に手形・小切手が決済できない状況)になってからも返済しなかったとされている。 そして、モリスは同年6月にも『ウィン・ラスベガス・ホテル&カジノ』で同様の手口を用い、換金できないと分かっていた小切手で15万ドル(約2200万円)を受け取ったと伝えられており、合計約26万5000ドル(約3900万円)の小切手が不渡りになった疑いが持たれている。 検察側は「支払い意思のない借入は詐欺に当たる」と主張。一方の弁護側は保釈審で「すでに多額の送金を実行し和解交渉中」と釈明しているが、判事は「州外事件であり管轄外」として保釈を認めなかった。 モリスの代理人を務めるヨニー・ノイ氏も、本人が逮捕された事実を認めているが、メディアの過剰反応に難色を示している。 「皆さんに理解していただきたいのは、これは詐欺などではなく、メディアが騒ぐ偽小切手の報道は全てデタラメです。これはカジノとの未払いクレジットが原因です。1200ドルを超えると逮捕状を出せるそうですね。本当におかしな話しです」 『Los Angeles Times』によると、事件が起きたネバダ州では1200ドル超の未払いマーカーは即重罪という独自の厳罰規定がある。これはカジノの聖地ラスベガスにおける金銭トラブルを抑制するためのものだろう。近年では2006年にマイアミ・ヒートでNBAチャンピオンとなったアントワン・ウォーカーも同様の容疑で摘発されたが、返済によって起訴猶予となるケースも少なくないという。 検察はモリスの一件についても債務全額の即時弁済なら訴追撤回を検討することを示唆しており、今後はモリスが支払いを完了できるかが処分の分かれ目となりそうだ。 文=Meiji