劇場版『鬼滅の刃』も被害…あの“映画泥棒CM”もあるのに「盗撮」が後を絶たないワケ

驚異的な大ヒットを記録している『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 再来』は多くの社会的関心を集めています。どこまで記録を伸ばすのか楽しみですが、同時に話題作だけに新たな問題も浮上しています。 本作の上映を盗撮した映像が、ネット上に出回っているのです。本件に対して、2025年7月25日、『鬼滅の刃』公式サイトでは、刑事告訴を含む厳正な対処をしていくと明言されました。 現在、ほぼ全ての映画上映前に映画の盗撮は犯罪であることを知らせる「映画泥棒」のCMが流れているわけですから、映画の盗撮が犯罪であることを知らないはずはありません。それでも無くならないのは、なぜなのでしょうか。 ●映画の盗撮を罰する法律の存在 上述した通り、日本の映画館では本編の上映前に映画泥棒のCMが流れます。 中心的なキャラクターであるカメラ男とパトランプ男は妙に人気が出てしまって、かつて写真集まで出したこともあるのですが、そもそもあれは何のために、いつから流れているのでしょうか。 あのCMが流されるきっかけとなったのは、2007年に制定された映画の盗撮の防止に関する法律(映画盗撮防止法)です。 この法律が制定されるまで、上映中の映画を撮影しても著作権法で保護されている「私的使用のための複製」によって、取り締まるのが難しかったとされています。 「私的使用のための複製」は、自分自身または家族などと楽しむために、TV番組などを録画したりする行為を著作権侵害とせずに合法にした取り決めです。映画館で上映されている作品に対しても、これが主張できる状態でした。当時の海賊版業者はこのことを熟知していて、堂々と三脚を立てて上映中の映画を撮影しながら、「私的な利用のためだ」と主張することもあったと言われています。 こうした法律の抜け穴をふさぐために新たに制定されたのが「映画盗撮防止法」です。この新たな法律によって、映画館内での撮影は私的な利用であっても原則「盗撮」となり、刑事罰の対象となりました。 そして、この法律ができたことを啓発するために映画泥棒のCMが作られることになったのです。 ●「映画泥棒」の罪の重さは? かつて映画を盗撮するのは、違法は海賊版DVDなどで利益を上げようとする違法業者が多く、暴力団の資金源になっていたこともあるようです。この法律の目的はこうした海賊版業者を抑制するためです。 ただ、時代は変わり、DVDは海賊版も含めて売れなくなってきており、海賊版で利益を得るという目的の盗撮は目立たなくなってきています。その変わりにSNSでシェアするために盗撮をするケースが目立ってくるようになりました。 映画泥棒のCMでも、映画の撮影・アップロードは違法と説明されているように、上映中の映画を撮影してアップロードする行為は違法であり、犯罪です。現行犯で見つかるのはもちろん、後でスマートフォンやSDカードなどから違法な撮影データが見つかっても逮捕になるケースもあります。 その刑罰の重さは、映画泥棒のCMでも言われている通り、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」となります。得られるものに対してリスクがあまりにも大き過ぎる犯罪行為です。 ちなみに、違法だと知りつつダウンロードするのも犯罪となります。ダウンロードせずに見るだけなら違法とはならないですが、褒められた行為ではありません。

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