中国「BL作家」取り締まりの「真の目的」とは?…背景の「もっと深い闇」を西側は見逃している

西側メディアは「ボーイズラブ(BL)」への中国の「取り締まり」にいち早く注目した。 英米の報道では、「ゲイ・エロティカ」や「ほとんど報酬を得ていないアマチュア作家たち」に対する弾圧に「高まる世論の怒り」が取り上げられている。一方、中国国内のメディアもこの動向に注目しているが、全国的な大規模弾圧ではなく、むしろ局所的な現象として報じられている。 広州に拠点を置くメディア「南方週末」は、6月20日付の記事で、甘粛省蘭州市での逮捕事例について詳細に報じている。 同記事によれば、警察当局は「耽美(ダンメイ──ボーイズラブを意味する)」のネット小説を有償で公開したとして、若い女性数名をわいせつ物頒布の容疑で拘束したという。記事では、昨年に安徽省績渓県で発生した類似の逮捕事例にも言及している。 ただし、この記事では、逮捕が中国全土で起きている現象を象徴するものだとは一切言及していない。むしろ、蘭州警察が管轄外の人物を摘発しようとする法的問題について詳しく論じている。 中国のオンライン文化と、それに対する政府の規制を研究してきた立場から見ると、西側メディアでは「中国が~を取り締まる」という見出しが非常に多いことに気づく。 ここ数年では、インフルエンサーやセレブ文化、「ナヨナヨした」ボーイズバンドに対する「取り締まり」についても、同様の報道が繰り返されてきた。 こうした報道には一定の意図がある。すべての検閲や統制を「中国」という単一の存在に帰することで、西側に広く根付いている「中国=一枚岩の全体主義国家」というイメージを強化するのだ。実際にそういう側面もあるが、多くの場合、事情はもっと複雑だ。

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