検証結果に疑問の声も…“冤罪事件”警視総監が異例の謝罪 当事者の受け止めは

機械メーカー『大川原化工機』をめぐる冤罪事件で、警視庁は7日、捜査の問題点を検証した報告書を公表し、警視総監が、会見で異例の謝罪をしました。 迫田裕治警視総監 「捜査の基本を欠き、その結果、控訴審判決において、違法であるとされた捜査を行なったことを、真摯に反省しております。本件捜査によって、多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて、深くお詫びを申し上げます」 2020年3月、警視庁公安部は、軍事転用が可能な機械を不正に輸出したとして、大川原化工機の社長ら幹部3人を逮捕。輸出規制に関する経済産業省の省令を独自に解釈し、捜査を進めました。 東京地検の主任検事は、公安部の逮捕容疑のまま、起訴に踏み切ります。しかし、初公判のわずか4日前に起訴が取り消され、3人が無実であることが明らかになりました。 東京高裁は、今年5月、公安部の違法捜査を認定し、東京都と国に合わせて1億6600万円余りの賠償を命じ、この判決は確定しました。 これを受けて警視庁は、検証チームを設置。退職者を含む、幹部や捜査員47人に聞き取りを行い、その結果を公表しました。 迫田裕治警視総監 「捜査上の問題点を総括しますと、公安部全体の捜査指揮系統の機能不全が、最大の反省事項だったと考えております」 捜査の中心を担ったのは、公安部外事1課5係。 約20人の捜査員を束ね、現場を指揮した係長は、慎重意見に耳を傾けず、直属の上司である管理官も、それに異を唱えることはありませんでした。 警視庁検証チームの報告書 「複数の当時の捜査員が、第5係長に慎重意見を述べても、正面から相手してもらえなかったと述べていることからも、検挙を第一に考えるあまり、自身の捜査方針にそぐわない捜査上の消極要素に対し、十分な注意を払っていなかったと認められる」 また、その上司にあたる外事1課長から公安幹部への報告も、捜査の概要や予定を伝えるのみ。幹部側も、詳細な報告を求めなかったといいます。 そして、報告書は、次のように結論付けています。 警視庁検証チームの報告書 「公安部が、組織として慎重に検討していれば、その時点で捜査方針が見直され、関係者の逮捕に至ることはなかった可能性は否定できない」

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