マーカス・モリス(元デトロイト・ピストンズほか)のカジノにおける詐欺容疑が、解決を迎えたようだ。 『KLAS 8 News Now』が報じた裁判所の文書によると、モリスがラスベガスにある2カ所のカジノ施設に借金を完済したことで、ネバダ州の検察が正式に起訴を取り下げたという。 事件の経緯は、次のとおりだ。モリスは昨年、ラスベガス滞在中に「マーカー」と呼ばれるカジノの信用貸し制度を利用。これはプレイヤーが小切手や署名を担保に即時のギャンブル資金を得られるシステムで、通常は短期間での返済が求められている。モリスは、このマーカー制度を利用して、『ウィン・ラスベガス』と『MGMグランド』から合計26万5000ドル(約3900万円)の小切手を振り出した。しかし、口座の残高不足により返済期限を過ぎても支払いが完了できず、不渡り小切手を発行した形となり、モリスは「不渡り小切手による詐欺および窃盗容疑」によってフロリダ州で逮捕。その後、ネバダ州に身柄を移送され、起訴に直面していた。 その後、しばらくの拘束を経たモリスは8月7日(現地時間6日)、完済が確認されたことにより、この容疑を免れることとなった。 だが、モリス本人は今回の逮捕に納得がいっていない様子だ。NBAキャリア14年のジャーニーマンは自身のインスタグラム(現在は削除)で今回の件に対する怒りをあらわにしており、保釈が許されることなく拘束され、食事も水も与えられずに51時間を過ごしたことを明かしている。 「一番つらかったのは、実際に鎖につながれ、24時間ロックダウンされた牢屋に座っていたことだ。教訓を得た。俺は逃げも隠れもしないし、そのことはほとんどの人が知ってるはずだ。数字を見ればわかるが、これまで金を借りたり必要としたことは一度もない。返済期限を過ぎたかって? 恐らくそうだろう。だが、まさか逮捕されるとは思ってもみなかった」 また、モリスによると、ギャンブルを楽しむためにマーカーを利用したのは今回が初めてではなく、逮捕に至るようなことは一度もなかったと述べ、詐欺容疑を真っ向から否定している。 「ギャンブルのために、マーカーを利用したか? そのとおりだよ。これが初めてかって? いや、違う。俺は毎年、ある時期にラスベガスで自分の好きなことをハイレベルで楽しんできたし、それはギャンブルだけじゃない。俺がこれまでに使った金額や時間には、もっと価値があると思っていた。カジノの裏部屋でも、このマフィア風の対応ができたはずだ。俺たちは詐欺師だったこともないし、詐欺行為には一切関与していないよ」 NBA選手のカジノにおけるトラブルは、モリスが最初の実例ではない。過去にはアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)が素行不良により、デトロイトのカジノを出禁に。また、チャールズ・バークレー(元フェニックス・サンズほか)も2008年に、モリスと同じくマーカー制度を利用して40万ドル(約5900万円)の未払いにより提訴されている。 大金を所持するNBAプレーヤーならではの派手な遊び。だが、金額の大小に問わず、ギャンブルはほどほどに。 文=Meiji